東京ドキュメンタリー映画祭 > 上映作品 > 『双子暦記(れっき)・私小説』
上映作品
長編5『双子暦記(れっき)・私小説』 上映時間110分
12月6日(木)19:00 上映
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63歳にして双子の姉妹の父となった映画監督原將人。双子誕生を紀元とし、双子暦の世界に分入った原は、自ずと「新たなる宇宙と地球の歴史」を辿り直すことになり、21世紀を生きてゆく地球人、とりわけ日本人にとって必要な世界観が、<双子暦記>シリーズで展開される。本作では、古都京都を舞台に、双子を育てる生活費を稼ぐため、原が人生初めてのフリーター生活を送り、現代日本のブラックな労働現場を点々とした<苦難の旅>が、私小説、プロレタリア文学へ傾斜しながら描かれる。さらに、原が詠んだ八十首の和歌が、平安以来の日記文学の伝統と交差しながら全編を織り成す。新生児の映像に重ねられる、4歳になった姉妹による和歌の朗読は、運動イメージとしての映像から、テキストと音の厚みのなかで時間イメージを生成させ、至福の映画体験をもたらす。本作は、<メタフィクション>として、真にエポックメーキングなドキュメンタリーの最尖端をさぐる。
2018年/110分/カラー/日本
監督プロフィール
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原將人
1968年、高校在学中に『おかしさに彩られた悲しみのバラード』により第1回東京フィルムフェスティバルグランプリ、ATG賞を同時受賞。73年『初国知所之天皇』で映画の新しい地平を切り開き、後進たちに勇気と希望を与え、多くの監督たちを輩出した。97年『20世紀ノスタルジア』で日本映画監督協会新人賞。2002年『MI・TA・RI!』でフランクフルト国際映画祭観客賞。映画を視覚的な音楽と捉える映画への愛に溢れた独特の表現で知られる。