東京ドキュメンタリー映画祭2018
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > 震災から七年、東北の祈り

上映作品

短編4震災から七年、東北の祈り 上映時間92分

12月6日(木)10:00 上映

大震災から7年。忘却に抗わなければという思いに、映画作家たちもまた突き動かされている。原発20km圏内に位置する神社の宮司にスポットライトをあて、その家族や土地の歴史を見つめた『音なき潮騒』。波の動きをはじめ、静かな映像美に冒頭から引き込まれ、土地における生を追体験するような感覚を味わう。『未来につなぐために ~赤浜 震災から七年』は、単なる復興のドキュメントに留まらず、震災復興の実態、目先のみを考えた国の施策への批判、住民たちの地域を愛する心に根付いての自治など、複合的に震災の姿を捉えた力作である。
  • 『音なき潮騒』
    『音なき潮騒』
  • 『音なき潮騒』 上映時間40分

    福島第一原子力発電所から20km圏内、福島県南相馬市小高区。そこに住む神主・西山典友さんの生活にスポットを当てたドキュメンタリー。2011年、東日本大震災に伴う原子力発電所の事故により、帰還困難区域に指定され、小高区の住民は強制避難を余儀なくされた。避難解除後も家に戻らぬ人が多い中、西山さんは小高に戻ってくる。古来から自然と深い関わりを持ち、600年以上の時の中で受け継がれてきた日鷲神社。この町がどんな状態になろうとも、この神社に居続け、守り続ける堅い意思が西山さんにはあった。西山さんのその堅い意思の理由、そして、彼の経験が、現代に生きる我々に問いかけるものとは。原子力発電所事故以来、「悲しみ」の場所として伝えられることが多かった”福島”。一人の神主の生活を通してみると、そこに新たな"福島"が見えてくる。津波、原発、そして、神社。関係ないように思えるものが次第にひとつにつながっていく。

    2017年/40分/カラー/日本

監督プロフィール

  • 有元優喜
  • 有元優喜
    1996年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部4年。大学では思想・言語・文学を中心に研究している。国際問題をテーマとした学生団体に所属し、2015年には旧ユーゴスラビア諸国を訪れ、助監督としてドキュメンタリー制作を行う。2016年にはインドを訪れ、編集長として、その体験を基にした雑誌の制作を行う。また、同年、初めて被災地を訪れ、 被災後の福島から学べることを模索し始め、翌年から映像制作を始める。
  • 『未来につなぐために ~赤浜 震災から七年』 上映時間52分

    北上山系からの豊かな水が湾に注ぎ、海と生きてきた漁師町、岩手県大槌町。2011年3月、東日本大震災による22メートルを超える大津波と火災で町は壊滅した。国と県は、津波対策として、高さ14.5メートルの巨大な防潮堤の建設を大槌町に提示。赤浜地区の住民は、川口博美を長とする自主団体「赤浜の復興を考える会」をつくり、「自然にかなうものは何もない。どんな防潮堤をつくっても人間がつくったものは必ず壊れる。防潮堤にはもう頼らず、最初から高台に移って、孫子の代までに安心して住める集落をつくる」と決議。巨大防潮堤を拒否した。しかし、その後、赤浜には、これでもかと試練が続く。全国で行われる土木事業のため、被災地の住宅建築費は2倍になり人口は流出。住民の生活再建は遅れ、地方自治は弱体化する。それでも、後世のためにと思う心意気が、海の見える集落を再生させた。国の施策と対比させながら、自然を受け入れて生きていく覚悟を川口博美の目を通して描く。

    2018年/52分/カラー/日本

監督プロフィール

  • 小西晴子
  • 小西晴子
    土本典昭、黒木和雄、原一男などを追ったTVシリーズ「ドキュメンタリスト」を制作。映画「Little Birds イラク 戦火の家族たち」(2005年 綿井健陽監督)を企画し、イラク戦争の10年を描く「イラク チグリスに浮かぶ平和」(2014年 綿井健陽監督)をプロデュース。映画「赤浜ロックンロール」(2015年5月)を監督し、TV番組「民意のゆくえ~東日本大震災から5年」(2016年3月)、「未来につなぐために~赤浜震災から7年」(2018.3月)を制作。長崎の被爆三世の長崎から六ケ所への旅「アトムとピース~瑠衣子長崎の祈り」(2016新田義貴監督)をプロデュース。