東京ドキュメンタリー映画祭2018
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > レディたちのブルース

上映作品

短編6レディたちのブルース 上映時間81分

12月8日(土)10:00 上映

生きることには笑いが必要。そして笑いを生み出すのは、多くの場合女性たちだ。ポルトガルにおいて、老女と男性の階段の上り下りにおける、何気ない会話から人生の豊饒さを切り取った『また次階!』、ごみ清掃を行う女性の日常から、香港が抱える問題に迫った『コール・ミー・ミセス・チャン』、『非正規に尊厳を! メトロレディーブルース総集編』は地下鉄の売店で働く非正規雇用の女性たちの闘争の記録でありながら、ユーモアたっぷりな女性たちの存在もあり、単なる告発の作品には終わらない。いずれの作品にも、女たちのしたたかさと魅力を感じさせられる。
  • 『また次階!』
    『また次階!』
  • 『また次階!』 上映時間10分

    リスボンにある最も長い階段のひとつで起こる、ポルトガル人女性とアジア人男性の対話を描いたポートレイト。リスボン生まれの小柄なマリアお婆ちゃんは、近所に住むアジア人の若者と一緒におしゃべりをしながら階段を登るのを日課としている。二人はお互いの言葉をあまり理解しないものの、階段を登るあいだにそれぞれの個性や弱さ、経験やユーモアを共有する。日常的な空間の特異性から目を離さずに、共有された弱さによって友情が育まれる瞬間をとらえた短編。

    2017年/10分/白黒(エンドクレジットはカラー)/ポルトガル・日本

監督プロフィール

  • 桑山篤
  • 桑山篤
    福岡出身。青年海外協力隊員としてキルギス共和国の子供たちと映画をつくったのが初めての制作経験。帰国後、ハローワークに通う傍ら、『吉和辞書1.0』を制作、公開。映像制作会社を1カ月でクビになった後、『まちや紳士録』(2013)『三里塚に生きる』(2014)の宣伝に携わりながら、自主制作を始める。2017年修士課程DocNomads修了後、作品制作・上映の他、映画教育活動に従事。
  • 『コール・ミー・ミセス・チャン』 上映時間16分

    夜の香港。古びた高層アパートで、中国・福建省出身のチャンおばさんが、今日もゴミ集めをこなしている。この仕事に就いて十年、顔なじみは沢山できたが、アパートの誰からも名前で呼ばれることはない。夫の助けを借りながら、彼女は年中働き続ける。もし休んでしまったら、変わりの人の給料を、自分で出さなければならなくなるから…。
    ダストシュートで集められるゴミの行方や、黙々とゴミを集める彼女の背中を追い続けたフォトジェニックなショットから、「雨傘革命」や「民主化運動」とも異なった、香港のもうひとつの姿が見えてくる。

    2017年/16分/カラー/香港/原題:Call me Mrs Chan

監督プロフィール

  • Chan Hau Chun (陳巧真)/ Chui Chi Yin (徐智彦)
  • Chan Hau Chun (陳巧真)/ Chui Chi Yin (徐智彦)
    陳巧真 Chan Hau Chun
    香港城市大学クリエイティブメディア学院卒業。本作の他に "Uncle Fai” “No song to sing” "32 +4"などの作品がある。現在も写真との関わりを続けている。

    徐智彦 Chui Chi Yin
    映画に魅せられ、現在も新作に取り組んでいる。
  • 『非正規に尊厳を!−メトロレディーブルース総集編』 上映時間55分

    東京メトロの売店で働く非正規の女性たちは、何年たっても時給が上がらない。正社員との格差は広がるばかり。「差別をなくしたい」との思いで、中高年の彼女たちは2009年に労働組合を結成した。やっとものが言えるようになったものの、2013年仲間の一人が「65歳定年制」で雇い止めの危機に。組合は雇用継続を求めてストライキに立ち上がった。映画は、その後の裁判提訴、判決までの5年間のたたかいをドキュメントする。いま日本の労働者の4割(2000万人)は非正規労働者。「これは、カースト制度。負けるわけにはいかない」というメンバーの声が力強い。彼女たちのユーモラスな歌やパフォーマンスをまじえて、笑いのつきない映像は見る者を魅了する。

    2018年/55分/カラー/日本

監督プロフィール

  • 松原明・佐々木有美(まつばらあきら・ささきゆみ)
  • 松原明・佐々木有美(まつばらあきら・ささきゆみ)
    1989年、映像制作プロダクション「ビデオプレス」を設立。労働、人権、環境などをテーマにドキュメンタリー作品を多数制作。代表作に、『人らしく生きよう―国労冬物語』『君が代不起立』(ともに平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『ごみは甦える』(地球環境映像祭「地球環境映像賞」)、『いのちを楽しむ―容子とがんの2年間』などがある。2013年より、地下鉄売店の女性労働者の闘いを描く『メトロレディーブルース』シリーズを制作。