東京ドキュメンタリー映画祭2021
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > それぞれの居場所

上映作品

短編7それぞれの居場所

12月15日(水)14:00〜上映

中国の街で深夜の牛乳配達に励む男の誇りと呟き。「タイタニック号」の模型ばかりを作り続けるマニアの鮮やかな手さばき。周囲の人々に支えられ、ボクシングやダンスに挑戦するダウン症青年の奮闘。地方都市で守り続けた書店を畳む老店主の書や街への思い...それぞれの居場所から聞こえてくる、人間の息づかいを記録した4本。

  • 町の夜行者
    町の夜行者
  • 作品1

    町の夜行者 上映時間7分

    「夜間の仕事に従事する人間」と言えば、どんなイメージでしょうか?おそらく知らない人が少なくないと思う。「毎日自分の家に来ているその人の仕事の様子を一度は見たい!」という考えがあるでしょうか? 彼の一日は、どのように始まるのでしょうか? ではみなさんを、誰もいない街道を走り、行ったり来たりする男の世界に連れて行きましょう!

    2020年/7分

監督のことば

「映画の原点」と言えるドキュメンタリー映画の最も重要な役割は「記録」である。時代の変遷に伴い、一部の物事がこれから消失してしまうかもしれない。ドキュメンタリー映画の形式で、後世に残すことは大事だと私は考える。科学技術時代の到来により、自動化の程度が高まっている一方で、牛乳配達員といったような伝統的な職業の消失が続いている。そのような職業を映画で描写し、未来の人々に残したいと思った。

監督プロフィール

  • 陳鵬瑞(チン・ホウズイ)
  • 陳鵬瑞(チン・ホウズイ)
    1997年生まれ。中国・南京市出身。日本大学芸術研究科在籍。学部時代よりドキュメンタリー映画の制作を始め、監督として5本の短編ドキュメンタリー映画を製作した。「中国大学生技能実習大会(映像部門)」にて受賞。卒業後、留学生として来日し、現在、現実を題材にしたドキュメンタリー映画の研究と製作を行っている。
  • 作品2

    15,000:1 - タイタニック号模型のスクラッチビルド 上映時間10分

    模型ビルダーのジェイソン・キング氏は、1985 年のタイタニック号発見のニュースに影響されてタイタニック号のリサーチとその模型の製作を始めた。独学で技術を向上させ、詳細なリサーチに基づくクオリティの高い彼の作品は世界中で展示されてきた。4 年を掛けて製作された 1:72 スケールの最新作は既存のタイタニック号の模型で最も正確な作品の 1 つである。本短編は彼の模型製作の背後にある動機と精巧な職人技に注目する。

    2021年/10分

監督のことば

僕は子供の頃からタイタニック号に非常に興味を持っていて、ジェイソンの作る模型にはずっと憧れていました。今回ドキュメンタリーを制作できて大変光栄に思います。彼の模型作りに対する情熱や真摯な姿勢を追うことは、僕にとって映像制作という自分の仕事に対する思いを改めて見直す良い機会となりました。この映画を見てくださる方々もそれぞれの分野でインスピレーションを得ていただければと思います。

監督プロフィール

  • ダン・パークス
  • ダン・パークス
    1976 年ニュージーランドクライストチャーチ出身。15 歳から映像制作を開始する。2002 年から日本に 2 年半住んだ後イギリスに移住し、ブライトンの映画学校で学ぶ。卒業後映像制作会社を設立し、世界各国を飛び回って企業ビデオ、イベント撮影、ミュージックビデオ、⻑短編映画など数々の作品の制作に携わっている。
  • 作品3

    オレやりたい!~ダウン症と生きる あっきーの挑戦 上映時間29分

    横浜市で暮らす21歳の小林暁洋くん。周りから「あっきー」と呼ばれ親しまれている彼は、ダウン症を持っている。ダウン症と聞くと浮かぶイメージはいまだに、「できないことが多い」「かわいそう」。でもあっきーは、パン屋さんで仕事をしながら週末にはダンス、さらにはボクシングなど様々なことに挑戦している。障害に対する偏見が絶えない社会の中で、あっきーと彼の家族が選択する力強い生き方を描く。

    2021年/29分

監督のことば

ダウン症の人に対する「かわいそう」というイメージは社会に根強く残り、出生前診断も広く普及しています。でも、周りの少しの理解とサポートがあれば、ダウン症であってもできることはたくさんあります。障害を一つの個性として捉え、誰もが伸び伸びと生きられる社会はどうしたら作れるのか。あっきーと彼を支える人たちの温かい生き方からは、きっとヒントをもらえるはずです。

監督プロフィール

  • 福田みなみ
  • 福田みなみ
    1999年生まれ。群馬県出身。14歳から16歳までの3年間をブルガリアで過ごす。国際基督教大学高等学校卒業。現在は上智大学文学部新聞学科に在学。水島宏明ゼミでドキュメンタリー制作を学んでいる。今作のほか、自死遺族をテーマにしたナレーションのないドキュメンタリー『Sister』を制作。
  • 作品4

    本とオペラ ~消えていく人~ 上映時間63分

    福井県越前市の旧武生地区で、移転せず約70年営業してきた銀泉書店が閉店するまでの5ヶ月間、店主・亀谷泰造(当時74才)さんを追ったドキュメンタリー。売上げの減少や、亀谷さんの高齢化で経営が困難になる中、書店跡地を駐車場とするホテル建設計画が持ち上がる。日々雑誌や書籍は届けられるが、退去の期日は近づく。町うちの書店経営の困難さ、出版、ジャーナリズム、町の変化、自分自身について亀谷さんは静かに語る。

    2021年/63分

監督のことば

いつも店の前を車で通りながらも、店内に入ることがなかった。でも頭の片隅で気になっていたのが銀泉書店です。40数年前の小学生の頃、ドカベンなどのマンガを立ち読みしました。数十年ぶりに敷居をまたいだ店内は、大変さびしくなっていました。ところが、本棚を見ると、売れ筋ではないだろうと思われる本が並んでいる。興味がわき、店主の亀谷さんと話すようになりました。町の片隅からの眼差しが色々なことを教えてくれました。

監督プロフィール

  • 若泉政人
  • 若泉政人
    1988年にっかつ芸術学院(演出)卒業、以後東京にてテレビ番組制作に携わる。1994年に福井に戻り、メガネフレームメーカーにて営業に従事。2001年会社倒産を機にアジア・中東・ヨーロッパを旅行(7か月)。帰国後、印刷、映像制作を模索。2013年から防災コンサルタントに従事。現在は、防災、映像作成などを行っている。吉田彰に師事。
  • 芸術文化振興基金
  • 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
  • エトノスシネマ
  • アジアンドキュメンタリーズ