白根紙鳶見聞録 凧ノ国(しろねかいのぼりけんぶんろく たこのくに)

『白根紙鳶見聞録 - 凧ノ国』
新潟県新潟市南区には、300年の歴史をもつ「白根大凧合戦」が存在し、毎年6月、5日間にわたって開催される。この地域における「凧揚げ」とは、川を挟んで互いに揚げた凧の綱を絡ませ引っ張り合い、綱を切るまでの一連の動作のことを言う。各組の人々が1年間をかけ素材集めから製作までを自分たちで行い、合戦を待つ。その様子を、地域に暮らす人たちの生きざまとして3年間に渡って丹念に記録する。

大月語

本作は高知県大月町で実施されたアートプロジェクト「おおつきビジュアライズ計画」で、監督である濱田公望が撮った独立した6つの作品を再編集したもの。黒潮注ぐ四国の西端で移ろう四季の風景や、刻々と変わる海の表情という「地中」に、最果てに残る言い伝えや祭礼、開拓民の歴史や越境する若者という「地表」を重ね、ダンサーや音楽家等の演者を近未来から招き、言葉にならない土地の「語(り)」を探す。  過疎の度合いが増し、集落文化も廃れつつある大月町で、捨て置かれたのではないかと錯覚するかのような毎日から無作為にダイブし、タイムマシンに乗った感覚で捉えようと試みた映像詩。

私はおぼえている

鳥取県内の高齢者を対象に人生を振り返ってもらい、映像とオーラル・ヒストリーで市井の人々の生活史を記録する「現時点プロジェクト」。 8人の語りが編集され、映画としてかたちになったのが本作。家族との思い出や土地に根差した暮らし方や戦争体験といったそれぞれの個人的な記憶が結びつき、いつしか土地の記憶、さらに大きな歴史の物語への広がりが感じられてくる貴重な記録。

傍観者あるいは偶然のテロリスト

20年前、第2次インティファーダという民衆蜂起の嵐の中、イスラエルによる破壊と殺戮の現場を駆けまわった記憶。映画は20年前の生々しい紛争の記録と、現在のパレスチナ各地を歩く男の姿が交錯する。あれからパレスチナはどう変わったのか。あの時の若者は今何を語るのか。そこに見たのは、今なお続く占領と抑圧の実態だった。700キロにも及ぶ分離壁がイスラエルとパレスチナを分断する不気味な光景。過去と現在をさまよう主人公。
世界が“傍観者”のままでいいのか。私たちは傍観者のままでいいのか。
そして後藤の構想したシナリオにリアリティはあるのか。
現在68歳の老映像作家、老ジャーナリストの追憶のプライベート・ムービーが問いかける。

なれのはて

それぞれの事情で、フィリピンの底辺に暮らす日本の男たちがいる。日本で事件を起こし逃げてきた男、フィリピン女性にハマり妻子を捨ててきた男、仕事が無くなり半ばヤケになって日本を飛び出した男…。日本を捨て、常夏の国フィリピンで“第二の人生”を送ることを決めた彼らを待ち受けていたのは、どんな運命だったのか?彼らの行き止まりの生活は、しかし「生きる」とは何か、「幸福」とは何かといった問いを私たちに突き付ける。

きりむすぶ

高円寺〜阿佐ヶ谷〜国分寺といったJR 中央線沿線で、40 代半ばになっても定職につかず映画を作り続ける監督「ハナフン」と、舞台や自主映画で活動する女優「ホリ坊」、そして東京に憧れ上京してきたミュージシャンの、10 年以上に渡る交遊を記録する。借金をしたり、アルコール依存症になったり、画面に映るのはどうにもならない日々ばかり。だが、それでも肩を寄せ合い時には奇跡が起きるかのような愛おしい人生の軌跡が、文字通り「きりむすばれ」ていく。

DieAter2 パンデモニウム

摂食障害は現在医療機関にかかっている患者数だけで2万5000人以上、推定患者数が20万人を超えるとされる疾患だが、その実態はあまり認知されておらず、誤った情報も多く出回っている。社会が産んだ病ともいわれるこの病について、当事者の姿を通して社会的課題や心境を直接知ることを、映像制作によって試みた作品。出演者は皆、すぐ隣にいても違和感がない人ばかりで、今まさにあなたのそばにいてもおかしくはない。本作はクラウドファンディングによって企画され、撮影は全編iPhoneで行われた。

40年 紅どうだん咲く村で

日本有数の原発銀座・福井県美浜町で、ひとり原発反対の姿勢を貫く松下照幸さん一家の40年にわたる闘いの軌跡を描く。 2011年3月に起きた福島第一原発事故は、日本中を「原発再稼働か、廃炉か」の世論で揺らしたが、原発のお膝元である美浜町もまた 「原発があることの不安と、無くなることの不安」 に揺れていた。8年が経ち、 再稼働もやむなしとする「現状容認」 の空気が時代を覆うが、それでも松下さんは反対の姿勢を貫き、地域経済の自立を目指して “希望の木”である「紅どうだんつつじ」植え続けている。なぜ彼は、闘い続けることができるのか?

焼け跡ダイアリー 〜ツインカレンダー 双子暦記〜

2年前の本映画祭においてグランプリを受賞した『双子暦記・私小説』の映像作家・原將人の新作。2018年夏、一家は原因不明の火事に見舞われる。子供たちを逃し、新作のデータをかろうじて持ち出した原は火傷を負って病院に運ばれ撮影どころではなかったが、帰宅した妻・真織の記録した数日間の膨大な記録が残された。退院した原は、その映像を編集しながら、焼け跡の瓦礫の下から発見した未編集の8ミリ映像の断片を再生させる。家族の過去の記憶と火事の記憶を二重に記録したフィルムに音楽とナレーションかぶせた、重層的な映画空間。自らの生命を日々燃やし続けて生き撮影した映画とは、生命の『焼け跡ダイアリー』なのだと原は思い到るのだった。双子暦記シリーズ3作目の作品。

東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート

都営霞ヶ丘アパートは1964年のオリンピック開発の一環で建てられた。
国立競技場に隣接し、住民の平均年齢65歳以上の高齢者団地であった。
単身で暮らす者が多く、住民同士で支えあいながら生活していたが、2012年7月東京都から「移転のお願い」が届く。
2020東京オリンピックの開催、そして国立競技場の建て替えにより、移転を強いられた公営住宅の2014年から2017の記録。