2020年 東京。12人の役者たち

コロナ禍の状況にあって、役者は何をおもうのか。12人の役者がスマートフォンを手に、表現者として生きることの葛藤、意志を自ら撮影した映像の数々が、一本の映画へと織りなされる。彼女彼らの日々は現実なのか虚構なのか。短編劇映画をも本編に収め、コロナ禍の状況に対峙する役者たちの現在、リアルを炙りだす意欲作。

故郷とせっけん

伝統産業のせっけん製造が有名な、シリア・アレッポでせっけん工場を経営していたカダハ家。しかし、アラブの春を端緒とする戦闘の拡大で、一家は国境を越えての移動を余儀なくされる。国境を越えてなおトルコで続けられる一家のせっけん作りの営みに、彼らの日々の想いが切実に、丁寧に織り交ぜられる渾身のドキュメンタリー。

#まなざしのかたち

アフリカ諸国やアジアを舞台に、文化人類学者の清水貴夫と農学者の田中樹のフィールドワークから始まるロードムービー。学者としてのまなざしはいつしか撮影者や東京でモニターを見つめる編集者の目線と多重層的に交わり、世界の複合性を織り成す。雄大な自然のロングショットや現地の何気ない生活風景が心地よく流れる。

ヨナグニ

与那国島の久部良集落にイタリアからのクルーが入り、中学校の生徒たちを撮影したダイレクト・シネマ。島には高校がなく、卒業すれば沖縄や内地に進学することに。揺れる思春期の生徒たちの姿を、授業、部活、放課後の遊び、本音が漏れる会話を美しい構図で撮る。島の方言も失われつつあり、国境の島の現在が伝わってくる好編。

であること

LGBTQ、マイノリティとひとくくりにされる人たちに、本当のとこを聞いてみたい。インティマシー・コーディネーターの西山ももこは8月の10日間、僧侶でメイクアップアーティストの西村宏堂、ドラァグクイーンのビビー・ジェローデルら9人と対話する。9人の自分自身「であること」を見つめ、十人十色な人の生へと迫る作品。

大鹿村から吹くパラム

今は亡き原田芳雄が10年前に大鹿歌舞伎を知らしめた大鹿村はリニア工事により自然環境が危機に瀕していた。偶然の出会いから大鹿村を知った監督は前半ではイギリス人の暮らし方を中心に魅力的に描き、後半ではスローガン「リニアは理に合わない」に沿った住民運動を映し出す。題名に大鹿村に吹く風と今後への願いを込めた渾身の作品。

クナシリ 

ベラルーシに生まれ、フランスを拠点とするコズロフ監督は北方領土・国後島を訪れ、その現状を見つめる。日本人が残した生活用具を掘り起こす男をはじめ、国境政策に翻弄された住民たちの生活は決して安泰とは言えないながらも、海の雄大さをはじめ自然の美しさを見逃さない監督のまなざしには、不思議と暖かさも感じられる。

※特別興業につき、本作に限り通常料金となります。
一般1,800円 学生1,500円 シニア1,000円
なお、特別鑑賞券(前売り1回券、3回券)はご利用いただけます。

再びおかえり

幼少期から思春期まで13年にわたり、出稼ぎに行った両親と離れブラジルで暮らしたマルコスと妹2人。子供たちの教育費を捻出するための出稼ぎだったにもかかわらず、空白の時間は「子供達との絆」を失わせてしまった。家族の絆を築き直そうと奮闘する日系ブラジル人家庭の悲喜こもごもの日常を描くセルフドキュメンタリー。

ベイウォーク

マニラ有数の観光地でホームレスの寝床でもあるベイウォーク。作者はそこで眠る一人の日本人と出会った。事業の失敗で全てを失い何年もここにいると言う男を撮影する一方、第二の人生を求め高層マンションを購入したもう一人の日本人にもカメラを向け始めるが…。マニラの喧騒に流れ着いた男たちの、葛藤のルポルタージュ。

Yokosuka 1953

1947年、戦後の横須賀に日本人の母と外国人の父との間に生まれた木川洋子(Yoko)は、当時の過酷な状況下、養子縁組でアメリカへと渡り母との離別を余儀なくされた。母はどのように生きたのか、SNSをきっかけに彼女のルーツ探しがはじまり、横須賀~アメリカ~八王子を辿る映画には、奇跡的ともいえる出会いが描かれている。