近代への内省

二人のムスリムによるジャワ島での巡礼の旅を追った『青鷺の足裏』。西洋人として初めて北極圏に到達したロバート・ピアリーがグリーンランド探検でイヌイットの女性たちと多くの子供を残した軌跡を辿る『オブジェクト・オブ・スタディ』。真摯な信仰の態度と変容を強いられた先住民たち。対照的な近代を描く2作品。

◎舞台挨拶
▶︎12/6(金)17:20の回 上映後
    登壇:アンドリアヌス・ウチュ・メルディ監督
 ビデオメッセージ:ラウル・アラエホス監督

闘鶏:東ティモールの国民文化

2002年に独立した東ティモールの伝統文化である「闘鶏」にスポットを当てる。人々にとって交流の場である闘鶏は、娯楽にも生活基盤になり得る重要な存在だが、パンデミックへの対応はじめ、近代国家への移行に際しては課題も多い。闘鶏を通じ彼らの社会や倫理観を考察する。タイトルの「シカ・スバール」は現地語で「切り札」の意。

◎舞台挨拶
▶︎12/6(金)15:05の回 上映後
 ビデオメッセージ:ディオゴ・ペソア・デ・アンドラーデ監督

民俗芸能:伝承へのおもい

コロナ禍で大きな影響を受けた民俗芸能の担い手の思いを描く2作品。『若獅子とハレの日』は、大阪・河内長野に伝わる「日野獅子舞」の4年の中断後の復活を取材した。『音、鳴りやまぬ。』は、東京・池袋周辺で行われる「まとい」「お囃子」「獅子舞」に携わる人たちが、パンデミック下で思うように活動できない姿を追う。

◎舞台挨拶
▶︎12/6(金)12:40の回 上映後
 登壇:玉置裕哉監督

▶︎12/7(土)15:35の回 上映後
 登壇:玉置裕哉監督、長岡参監督

インド悲喜こもごも

パワーあふれるインド社会の機微を描く2作品。『タイガー・ダンス』は、バンガロール近郊で行われる華やかで躍動感あふれるタイガー・ダンスのパフォーマンスを紹介する。『インディアン・ラブストーリー』は、ある青年が結婚に至るまでに経験した困難を通じて、規範やカースト制の強固さをうかがわせる。

◎舞台挨拶
▶︎12/5(木)16:30の回 上映後
 登壇:ディペシュ・カレル監督
 ビデオメッセージ:プラヴィーン・K・シェッティ監督 + ニテシュ・アンチャン監督

マダガスカル:くらしの知恵

厳しい自然に対応したマダガスカルの生活技術を紹介する2作品。『マハンピー いのちの素材』は、葦の葉を採取し、繊維を織り込んでマットを作り上げてゆく過程を記録。『マモディ 最後のバオバブ掘り』は、バオバブの巨木の内部をくり抜いて貯水タンクを作り、過酷な乾季の生活用水を確保する様を描く。

▶︎12/5(木)14:50の回 上映後
 ビデオメッセージ:サラ・エミリー・ブラウン監督

ロシア北方民族の今

ロシア少数民族の現状と、自然と共に生きる生活を知る2本。ナナイ族の老漁師がライフヒストリーや大規模漁業により生活の糧である魚が減っている現状を語る『アンバ』。『ターニャの夏と冬』では人里離れた自然の中で暮らすハンティ族のターニャが夏と冬にのみ寄宿舎から帰ってくる子供たちに様々な猟や自然の知恵を教える。

アフリカ/東京

北アフリカ・モロッコの、精霊と繋がりトランス状態を作り出す伝統的な音楽儀式「グナワ」に日本人が参加し、憑依の様子を記録した『グナワとの遭遇』。東京・葛飾区や墨田区のエチオピア人コミュニティを取材し、エチオピア人同士や地域住民との交流を描いた『つながりを生きる』。日本とアフリカの距離が縮まる2作品。

◎舞台挨拶
▶︎12/1(日)12:40の回 上映後
 登壇:栗村実監督、稲垣力さん(『グナワとの遭遇』プロデューサー)

 レターメッセージ:川瀬慈監督