感覚とメディア

身体のタブーを3人の女性がそれぞれの母国語で語る 『絨毯の下から』。理想の青を求め藍染を極める男たちを 捉える『色をこえて青を見る』。フィルムアーカイブでの修 復作業を圧倒的映像美でみせる『あと数世紀』。AIが「外れ値」として排除する、ある少数者の存在に耳を傾ける 『AI が消し去る声』。信念や美学に彩られた4つの短編。

生きる実感

ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患い在宅で暮らすさゆりと、重度訪問支援者として彼女の暮らしに寄り添うまき。彼女たちの日々の楽しみや社会とのかかわりを描いた『because time is life』 。難攻不落の“悪魔のレース”に挑み続けるプロトレイルランナーの挑戦を追った『メインクエスト2』。それぞれに灯る命の輝きを、カメラが捉える。

人生の夕暮れに

親族の老いや認知症など、にわかに受け入れ難い現実に、映像作家はどう向き合うのか。入院中の夫と離れ、一人で暮らす祖母の暮らしを静かにみつめた『春一番』。親しみを崩さず、祖母への愛が画面から溢れる『ばあば』。認知の進行に戸惑いながらも、1年にわたり母の姿を美しくカメラに収めた『夕日に舞う』。三者三様の記録。

あなたのそばに

リアルな赤ちゃん人形「リボーンドール」を携え愛しむ3名の女性が、率直な心情を明かす『リボーンドールと生きる』。29年勤めた局を追い出されたラジオDJ ジェイムス・ヘイブンスが、自前でFMラジオ局を作るまでの壁を描いた『Never Give Up それでもラジオ!!』。積み重ねられたインタビューが、必要とすること、されることの意味を問う。

終わらぬ日々の記録

辺野古の米軍基地建設に抗議するカヌー隊と、抗議中に起きた事故の裁判を描く『水平へ漕ぎだす 辺野古海上行動と裁判闘争』。岡山県で、福島第一原発事故の罹災者を一定期間受け入れる「保養」に密着した『マイプレイス–保養という選択』。メディアで報じられなくなっても続く日々を生きる人々の、思いや葛藤に向き合った2本。

コミュニティと言語

認知症が進み、母語での介護を余儀なくされる在日韓国人高齢者に寄り添う『Blessing Lies Here』。かつてマンモス団地と呼ばれた古い団地に暮らす高齢者と新たな住民との交わりを描く『憧れの暮らし、常盤平団地』。母語の喪失に直面する外国籍住民のケアにフォーカスする『はざま』。多様化する在留外国人コミュニティや、共生のありようを最前線でみつめた3本。

戦争の記憶を継ぐ

戦地に赴いたクリミア出身アーティストのビデオレポート『クリミア』。群馬県による「朝鮮人追悼碑」撤去問題にある 意識の断層を詩的に問う『森、すきま』。今なお続く遺骨収 集の意外な側面をみる『沖縄 戦没者遺骨収容 2025』。 終戦直前、米兵捕虜が処刑された「油山事件」実行者の葛藤をひもとく『最後の戦犯』。戦争の本質が、時を超え交錯する。