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上映作品
短編コロナ禍を生きる
3月5日(土)10:00〜上映
2020年に発令された緊急事態宣言中の東京にカメラを向け、〈夜の街〉や生活困窮者たちの叫びを記録した『東京リトルネロ』。同時期、活動休止を余儀なくされた宇都宮の小劇場とアーティストたちの姿から、いま表現することの意味を問いかける『コロナとアーティスト』。コロナ禍で生き方を模索する人々を追った2本。
◎舞台挨拶
▶︎3/5(土)10:00の回 上映後
オンライン登壇:久保田徹監督(『東京リトルネロ』)、鈴木智監督(『コロナとアーティスト』)
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作品1
コロナとアーティスト 上映時間35分
ある地方都市に住むアーティスト達の物語。64歳の女性ダンサー。星を奏でるギタリスト。自ら演じ続けることにこだわる劇場副支配人。「表現する事」が「生きる事」だった彼女らが「表現」を止められた。これは日本中の小さな街で起こっている戦いの一つ。わずかな観客の前で人知れず演じられる素晴らしいダンスと音楽。映像に刻まれたのは『絶望』と、静かに波打つような『希望』でした。 出演・妻木律子、鵜飼雅子、小川倫生、他2021年/35分
監督のことば
緊急事態宣言により仕事が止まり、一時東京の事務所をたたんだ私に、郷里の仲間からあるダンサーが公演を再開するので、記録するのを手伝ってほしいという声がかかりました。初対面の彼女に、ただならぬアーティストが目の前にいると直感し、私はカメラを回し始めました。抑圧の中で人間性はより光を放ちます。コロナで止まった世界が与えてくれた思いがけない出会いは「表現することの意味」を改めて気づかせてくれたのです。監督プロフィール
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鈴木智
自主映画を経て、報道・ドキュメンタリーを多数演出。シナリオライターとして「金融腐蝕列島・呪縛」でキネマ旬報・最優秀脚本賞。「誰も守ってくれない」でモントリオール国際映画祭・最優秀脚本賞。その他脚本作品多数。短編映画「障子張りの夜」監督。今回は原点に帰り久々の手作りのドキュメント作品となった。
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作品2
東京リトルネロ 上映時間49分
2020年、最初の緊急事態宣言から秋まで、コロナ禍の東京で社会の片隅に生きる人々の小声の歌(リトルネロ)の記録。パンデミックで職を失い路上に出る困窮者たちを見た支援者は言う- 「貧困は優しくない社会の結果」。<夜の街>と名指しにされた歌舞伎町でラッパーは憤る-「バブルの時は女買いに来てコロナになったら切り捨てか」。自由に移動もできない仮放免のクルド人は呟く-「私達は終わらないロックダウンの中にいる」。(NHK「BS1スペシャル」)2021年 短編部門準グランプリ
2020年/49分
監督のことば
昨年制作したこの映像の中の東京は不思議と遠い過去のように見えることがあります。悪質な映画のような現実が次々に現れるから、たった一年が数年分に膨張してしまったのかもしれません。あれからも僕らは街に出て、巡り合った誰かの日記を綴るようにして続編を作り続けています。大きな歴史の舞台裏で、この映画を完成させて、リトルネロ(小声の歌)になって響けばいいなと思います。監督プロフィール
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松井至、内山直樹、久保田徹
松井至(写真左):リトルネロフィルムズ合同会社代表。『私だけ聴こえる』が HOTDOCS2021 に公式選出。コロナ禍の東京を映した『東京リトルネロ』では、貧困ジャーナリスト賞、ギャラクシー賞奨励賞、ATP賞奨励賞、TOKYODOCS 優秀企画賞を受賞している。
内山直樹(写真中):NHKやYAHOOでアフリカや南米、戦争証言などのドキュメンタリー番組を多数制作。 「遠い祖国 ブラジル日系人抗争の真実」でギャラクシー賞優秀賞。また2017年より松井らとドキュメンタリー映像祭「ドキュ・メメント」を、2020年より独立メディア「DocuMeme(ドキュミーム)」を開始。
久保田徹(写真右):大学在学中の2014年よりドキュメンタリーを制作。社会の辺境に生きる人々、自由を奪われた人々に寄り添いながら静かにカメラを向け続ける。