東京ドキュメンタリー映画祭2021
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > アイヌとしてのアイデンティティ

上映作品

短編アイヌとしてのアイデンティティ

3月11日(金)10:00〜上映

アイヌというルーツと向き合う女性の思いや、作り手との交流を描いた2本。『ポネオハウ』は、アイヌ料理店を切り盛りする女性の暮らしに寄り添い、何気ない所で受けてきたこれまでの差別への葛藤を聞く。『カムイ レンカイネ』は、阿寒湖畔で観光用の舞踊を踊る踊り子との意識の溝を、監督が身体表現を使って埋めることを試みる。

◎舞台挨拶
▶︎3/11(金)10:00 短編部門の回 上映後
 登壇:広瀬久美子監督(『ポネオハウ -アイヌの私-』)、豊川純子さん(『ポネオハウ -アイヌの私-』出演)
 オンライン登壇:酒井直之監督(『カムイ レンカイネ』)

  • ポネオハウ―アイヌの私―
    ポネオハウ―アイヌの私―
  • 作品1

    ポネオハウ―アイヌの私― 上映時間25分

    北海道帯広市にアイヌ料理を出す小さな店がある。豊川純子さん(44)が切り盛りする「ポンチセ」。名物は大きな豚骨がごろっと入ったアイヌの家庭料理「ポネオハウ(骨のスープ)」。アイヌ民族の母を持つ純子さんだが、数年前まで自分の出自をずっと隠し続けてきた。「アイヌという言葉を聞くだけで背筋が凍るようだった」と話す彼女が、なぜアイヌ料理の店をあえて始めたのか?そして「ポネオハウ」に隠された悲しい過去とは。(制作:北海道テレビ放送)

    2021年/25分

監督のことば

私と同世代の純子さんが、つい最近までアイヌのルーツを隠し、人知れず苦しんでいたことにショックを受け取材を始めました。この作品を放送した翌月、全国放送の情報番組でアイヌへの差別表現が問題となり、言いようのない無力を感じました。まさにその差別表現で傷ついた人の話が「ポネオハウ」にも登場するからです。今回、上映する機会をいただき、1人でも多くの方に今なお残る差別について考えるきっかけになればと思います。

監督プロフィール

  • 広瀬久美子
  • 広瀬久美子
    1975年千葉県生まれ。東京女子大学、ミズーリ大学ジャーナリズムスクール修士課程修了。瀬戸内海放送、ドキュメンタリー工房を経て、2006年から北海道テレビ放送。主に報道の現場で、記者、ディレクター、デスクを務めてきた。過去の作品:「殺人で裁きたい」「生と死の医療」「汚された町」「ひと口の怖さ」など。
  • 作品2

    カムイ レンカイネ 上映時間41分

    北海道阿寒湖アイヌコタンでは、現在、アイヌ民族の血統の有無に関わらず、アイヌ舞踊の踊り手として働く女性たちが生活している。そこには、民族アイデンティティをめぐる様々な葛藤が存在していた。 アイヌコタンを訪れた東京のダンサー酒井直之は、彼女たちとの踊り、映像撮影を通して、その生活と問題に向き合うことになる。アイヌ舞踊の踊り子、毛房千夏氏との対話を中心に、阿寒湖の自然に触れながら、アイヌの思想、差別、コミュニティのかたち、アイヌをめぐる様々な事象に、踊りを通して出会っていく。

    2021年/41分

監督のことば

「すべてのものにカムイ(神々/魂)が宿る」というアイヌの基本的な思想から、動くカメラとダンサーの間には双方向的なダンスのような関係性があるのではないかという問いから本作は出発しました。アイヌコタンの皆様には、多大な尽力をいただき、その中でも、自身の葛藤を勇気を持って差し出し、作品を民族学的な領域に留まらず社会学的な領域まで運んだ毛房千夏氏の誠意には、心の底より感謝の念に堪えません。

監督プロフィール

  • 酒井直之
  • 酒井直之
    1991年、埼玉県春日部市生まれ。ダンサー、映像作家。東京藝術大学大学院修了。春日部市を拠点に、地域に開くアートイベント、映像配信等を企画。2012-19年までコンテンポラリーダンスカンパニー<Co.山田うん>に所属。その他、MVの振付出演や、RADWINPS等の音楽ライブへダンサーとして出演。
  • 芸術文化振興基金
  • エトノスシネマ
  • アジアンドキュメンタリーズ