東京ドキュメンタリー映画祭2021
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > 祭祀のエクスタシー

上映作品

人類学祭祀のエクスタシー

3月10日(木)10:00〜上映

エチオピアの少女たちが華やかな衣装で着飾り、喜捨をもとめて歌い踊る風習を撮った
『アシェンダ!』。ウズベキスタンのムスリム女性が楽しむ春の祝祭を記録した『神授の花』。マダガスカルの漁村でおこなわれる憑依儀礼を、ひとりの霊媒の男に焦点をあてて描く『スルンベ』。映像人類学がフィールドでとらえた祭祀を紹介する。

◎舞台挨拶
▶︎3/10(木)10:00の回 上映後
 登壇:川瀬慈監督(『アジェンダ!エチオピア北部地域社会の女性のお祭り』)、和崎聖日さん(『神授の花 フェルガナの女性とイスラム』制作)、飯田卓監督(『スルンベ マダカスカル西南部の憑依儀礼』)

  • アシェンダ! エチオピア北部地域社会の女性のお祭り
    アシェンダ! エチオピア北部地域社会の女性のお祭り
  • 作品1

    アシェンダ! エチオピア北部地域社会の女性のお祭り 上映時間38分

    アシェンダはエチオピア北部において8月下旬に開催される祭りである。華やかに着飾った若い女性達が歌い踊り、人々を祝福する。アシェンダを通して人々は、キリスト教エチオピア正教会の信仰の支柱、聖母マリアを称え、子孫繁栄を願う。近年は観光資源、無形文化遺産として、この祭りを再創造し、プロデュースする動きがみられる。本作では、大きく変容しつつあるアシェンダを記録し、祭りに人々が求める世界を描く。

    2020年/38分

監督のことば

2018年8月、僕と野原位さんは、エチオピア北部ティグライ州各地で行われるアシェンダを追いかけ、ハンディカムを持って駆け回り、祭りの熱気につき動かされるように記録を行った。しかしながら2020年11月、ティグライ州では同州を拠点にするティグライ人民解放戦線(TPLF)とエチオピア連邦政府軍との間に紛争が勃発した。以降、同国の政治は混迷を極めつつある。平和への祈りとともに本作を届けたい。

監督プロフィール

  • 川瀬慈
  • 川瀬慈
    映像人類学者。国立民族学博物館准教授。エチオピアの地域社会で活動を行う吟遊詩人、楽師の研究を行う。同時に、人類学、シネマ、アート、文学の交差点から詩、小説、写真、映像、音等を用いた話法を探究。主な映像作品に『Room 11, Ethiopia Hotel』『僕らの時代は』『ラリベロッチ-終わりなき祝福を生きる-』『精霊の馬』。
  • 作品2

    神授の花 - フェルガナの女性とイスラーム 上映時間23分

    「中央アジアの真珠」たるウズベキスタン・フェルガナ盆地では早春、つつじ色の「神授の花」がイスラーム聖者の廟に咲く。現地の女性たちは、これを春の到来とみなして、祝い、墓廟を参詣することを歴史的な慣わしとしてきた。本作は、今日のウズベキスタンでの民衆イスラームのあり方をいきいきと伝えると同時に、言語と民族を異にする女性たち(タジク人とウズベク人)がイスラームの名の下で統合され、共存する姿を記録した。

    2021年/23分

監督のことば

アッサラーム・アライクム、敬愛する東京ドキュメンタリー映画祭のご関係者、ご来場者の皆様!この映画は、ウズベキスタンのフェルガナ盆地に暮らす女性達の文化と伝統を取り上げた作品です。2015年から人類学者アドハム・アシーロフと和崎聖日によって構想され、2019年に撮影されました。日本語版の製作には、歴史学者木村暁も新たに迎えました。「中央アジアの真珠」たるフェルガナの美しさをご堪能いただければ望外の歓びです。

監督プロフィール

  • I・メリコズィエフ
  • I・メリコズィエフ
    1981年、ウズベキスタン・フェルガナ生まれ。ウズベキスタン国立芸術・文化大学に勤務する研究者。専門はメディア学。ウズベキスタンの現代的な結婚式を取り上げた短編ドキュメンタリー「ウズベキスタンの結婚式」(2017年)を監督。国内南部の祝祭を取り上げたPV「バイスンの文化」(2017年)の製作に参加。
  • 作品3

    スルンベ マダガスカル南西部の憑依儀礼 上映時間48分

    マダガスカル南西部には、ドゥアニと呼ばれる精霊が霊媒に憑依し、現世の人たちの悩みに耳を傾けて解決の道を探る。2017年7月、霊媒のジャン=ルシは、精霊たちのために祝祭「スルンベ」をもよおした。精霊と人びととの交流、霊媒の役割、精霊の「習慣」についての語りをとおして、日常生活と錯綜する想像世界の広大さを垣間見せる。

    2021年/48分

監督のことば

1994年にジャン=ルシと初めて会ったとき、彼は腕のよい漁師で、羽振りのよい青年実業家でもあった。しかし、人と違った能力があるようには見えなかった。たびたび精霊をのり移らせる霊媒となったのは、その数年後である。本作品は、2017年の短い期間に撮ったものだが、四半世紀にわたるわたしとジャン=ルシの相互理解と相互不可解の物語でもある。

監督プロフィール

  • 飯田卓
  • 飯田卓
    国立民族学博物館 教員、専門は人類学。在来知識や物質文化、文化遺産、視覚メディア、日本人類学史などに関心を寄せる。著書に『海を生きる技術と知識の民族誌』(世界思想社、2008年)、編著に『文化遺産と生きる』(臨川書店、2017年)、『文明史のなかの文化遺産』(臨川書店、2017年)など。
  • 芸術文化振興基金
  • エトノスシネマ
  • アジアンドキュメンタリーズ