東京ドキュメンタリー映画祭2018

上映作品

短編5アジアと戦争

12月3日(火)12:20〜上映

戦後74年、わずかに生き残る先の大戦の経験者を現代の若者がとらえた3篇。東京で開かれる満蒙開拓団の慰霊祭で出会った、日本に帰国後も故郷を追われざるを得なかった老人。日本人として動員され特攻隊に志願するが、終戦後は戦勝国・中国人としての扱いを受けた元台湾人学徒。激戦地ビルマの戦跡をミャンマー人学生と共に訪ねながら聞いた、村の古老たちの証言。それぞれの話が耳に残る。

  • 拓魂―ある満蒙開拓団員の証言―
    拓魂―ある満蒙開拓団員の証言―
  • 拓魂―ある満蒙開拓団員の証言― 上映時間19分

    東京都多摩市桜ヶ丘にある拓魂公苑。ここで、1963年から毎年、満蒙開拓団を慰霊する全国拓魂祭が開かれている。満蒙開拓団は、国策の名のもとに“憧れの地・満州”へ送り出された農業移民である。この全国拓魂祭に毎年参加しているのが、中込敏朗さん(92)。開拓団の一員として、故郷の山梨県から、満州国の千振地区へ家族とともに渡った。父親が死亡後も、家族は満州の地に残り、開墾に精を出した。しかし、ソ連参戦によって、穏やかな生活は一瞬にして逃避生活に。中込さんは、姉妹を失い、生き残った家族とも離れ離れに。奇跡的に、満州国の首都・新京で再会した家族は、苦労の末に日本に戻ることができた。しかし、故郷・山梨に安住の地はなく、引き揚げて来た千振開拓団の仲間とともに、栃木県那須町で土地を新たに開墾せざるをえなかった。那須の開拓地にも、「千振」と名付けた。中込さんは言う。「私には故郷が3つある。山梨であり満州であり那須である」と。“憧れの地”から“地獄の地”へと変わった満蒙開拓とは一体何だったのか。一人の元満蒙開拓団員の証言をもとに描いた。

    2019年/19分

監督プロフィール

  • 久保寺隼
  • 久保寺隼
    1996年、神奈川県出身。中央大学法学部4年。株式会社共同テレビジョンにて約2年間、インターンとして映像制作に携わる。 国策によって多くの人が満州国に移住したが、ソ連軍が満州に侵攻したことにより多大の犠牲を出した。しかし、そのような悲劇があったという事実は風化の一途を辿っている。今回、一人の元開拓団員の証言を記録することで、後世に記憶を伝える一つのきっかけとなればいいと思い制作した。
  • 「私は何者であるのか…」-ある台湾人学徒の証言- 上映時間19分

    太平洋戦争末期、日本の戦況は悪化し、学徒勤労動員が行われた。当時、日本の統治下にあった台湾からの留学生も例外ではなかった。中央大学の学生だった梁敬宣さんは、台湾人でありながら、日本人として軍需工場で高射砲の信管作りに従事した。途中、特攻隊を志願し特別操縦見習士官に合格。しかし、終戦後、今度は、中国人として戦勝国の人間という扱いを受けることになる。さらに、愛する人を原爆で亡くし、傷心のまま台湾に戻ることになった。戦争を機に、日本と台湾の間で生きることになった彼は「自分とは一体何者なのか⋯」という問いに一生苦しめられる。戦争に翻弄され、激動の時代を生き抜いた、一人の元台湾人学徒の人生を追った。

    2019年/19分

監督プロフィール

  • 松本弥彩暉
  • 松本弥彩暉
    1998年、東京都出身。中央大学総合政策学部3年。 都立狛江高校卒業後、中央大学総合政策学部にてジャーナリズム論を専攻している。現在は、シンガポールで処刑されたBC級戦犯とその遺族について、新たに映像を制作中。この他、2014年に発生した御嶽山噴火災害の取材も継続して行なっている。
  • アンセスターズ・メモリーズ 上映時間48分

    日本とミャンマーの学生が、第二次世界大戦時に日本占領下にあったビルマの歴史の真実を探るため、ミャンマー各地に点在するまだ存命中の証言者を尋ね、あの戦争の意味を自分たちなりに模索する。
    本作は、ヤンゴンを拠点にする日系企業の「ヤンゴン編集プロダクション」と、ミャンマーの若手映画人で作る「DeArt Films」の共同制作として、ヤンゴン編集プロダクション元インターンの茂野新太(22、京都大学)と、De Art Filmsの、のパインサン(21、西ヤンゴン工科大学)、カウンゴンティン(21、ダゴン大学)が参画して作られた。

    2019年/48分/日本・ミャンマー合作

監督プロフィール

  • 茂野新太 パインサン カウンゴンティン
  • 茂野新太 パインサン カウンゴンティン
    茂野新太:1996年神奈川県生まれ。2015年京都大学法学部に入学。2018年、ミャンマーにわたり、現地の日系編集プロダクションでインターン。その間に二本のドキュメンタリー映画を製作した。
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