東京ドキュメンタリー映画祭2018
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上映作品

特別1土本典昭が見たオリンピック直前の東京

12月1日(日)10:00〜上映

「水俣」の連作で知られる巨匠・土本典昭の若き日の2作品。『日本発見シリーズ/東京都』は高度成長期の地方から東京への人口流入を視座にした出色の東京論。テレビ用に制作されたが、スポンサーの異議で放送されなかった幻の作品。その2年後に制作された『ドキュメント 路上』はタクシードライバーを主人公に、刻々と変貌する東京を描く。 64年の五輪直前の作品で、東京はどこも道路工事の真っ最中だった。

  • 日本発見 東京都
  • 日本発見 東京都 上映時間29分

    「水俣」の連作で知られる巨匠・土本典昭の若き日の作品。『日本発見 東京都』は高度成長期の地方から東京への人口流入を視座にした出色の東京論。生前、土本は本作品について、このように語っている。「僕はそれまでにいろいろな地方を撮りながら、どこへ行っても人が‟東京へ出て行く”っていう場面に必ずぶつかってきた。昭和三十年代の中頃っていうのは‟金の卵”と呼ばれた中卒者の大需要期ですからね。戦争が終わったときには人口三百万だった東京都が、その頃ちょうど一千万人になった。だから東京はそうした地方の人たちによって作られているというふうに作ったんです」(「ドキュメンタリーの海へ」現代書館 刊 より)。
    岩波映画製作「日本発見」の1本としてテレビ用に制作されたが、こうした視点はスポンサーに許容されず、放送されなかった幻の作品。

    1962年/29分

  • ドキュメント 路上 上映時間54分

    タクシードライバーを主人公に、64年の五輪直前の東京を描く。東京はどこも道路工事の真っ最中で、撮影の方法に工夫を懲らしたと土本は言う。「達ちゃん(註:カメラマンの鈴木達夫)の発案で、タイヤと同じくらいの高さの目線で撮りたいね、なんて話をしていたんですよ。人の目はどうしてもそれ以上の高さになるからね。(略)じゃどうしようかって車両担当の人と相談して、バンパーのところに人が座って乗れる台を作って、太いボルトを突っ込んで体重に耐えるようにして・・・・。あれは今じゃ絶対に許可下りませんよ(笑)」 本作品は、交通安全のため自動車免許試験場に来る人たちに観せるPR映画として制作されたが、その意図に反する、ということで警視庁からクレームがつき、上映されなかった。しかし、ナレーションも音楽もない実験的な手法に、映画としてその後評価が高まった。

    1964年/54分

監督プロフィール

  • 土本典昭
  • 土本典昭
    1928年―2008年。岐阜県生まれ。岩波映画製作所を経て、1963年『ある機関助士』でデビュー。『ドキュメント路上』『パルチザン前史』などを発表ののち、1970年代以降、「水俣」シリーズ17本を連作。その他に『よみがえれカレーズ』、『原発切抜帳』等がある。著書に「不敗のドキュメンタリー」、自らのドキュメンタリー人生を語った「ドキュメンタリーの海へ記録映画作家・土本典昭との対話」(聞き手:石坂健治)等、多数。
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