上映作品
短編2戦禍の爪あと 上映時間89分
12月11日(日)14:20 / 12月20日(火)14:10
77歳になってなお日本への帰国を望む、未認定の中国残留日本人孤児を追う『望郷』。韓国の従軍慰安婦問題に触発され、尊厳の回復を求め声を上げながら、今なお心の傷を抱える「ビランガナ」(バングラディシュ独立戦争の性被害者)の女性たちを撮った『待ちのぞむ』。歴史に翻弄されることの残酷さと、その中を生き延び、生き続けることの意味を問う2本。
◎舞台挨拶
▶︎12/11(日)14:20の回 上映後
登壇:セ・アル・マムン監督、劉聡監督
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作品1
「望郷」――未認定中国残留孤児 郜鳳琴の物語 上映時間29分
郜鳳琴(コウ・ホウキン)。1944 年にハルビン生まれ。5 歳の時、実の母から中国人に預けられた。1982年、母はハルビンで郜さんと再会。その後、郜さんは二度と母と会うことができなかった。これからの35年、郜さんは身分認定と肉親探しのために奔走し続けた。本作品は郜さんの経験を記録し、日本へ望郷の念を抱えつつ生きており、アイデンティティの葛藤と揺れが生じている未認定残留孤児たちのことを理解してもらいたい。
2022年/29分
監督のことば
第二次世界大戦末期、中国に残された中国残留孤児。肉親に身元認定を拒否され、証人が亡くなったことなどの理由で、身分が認定されていない人も多くいる。戦争が終わった今でも、今なお「私は何者なのか」と自身に問い続ける申請者はまだ存在する。帰国の願いはかなうのだろうか、どんな未来を待ち受けているのか、未認定残留孤児・郜鳳琴の物語を通し、戦争に残された悲劇はまだ続けているということを視聴者に考えてもらいたい。
監督プロフィール
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劉聡(リュウ・ソウ)
中国吉林省長春出身。2017年、早稲田大学政治研究科ジャーナリズムコースに入学。2018年、中国残留孤児のテーマに興味を持ち、中国残留孤児のヒューマンストーリーを撮り始めた。2020年、大学院卒業後にIT企業に入社。
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作品2
待ちのぞむ 上映時間60分
1971年、バングラデシュはパキスタンからの独立戦争で大きな被害を被った。バングラデシュの初代大統領は戦争中で性暴行被害を受けた女性たちに“ビランガナ”=「勇敢な女性たち」という名をつけ敬意を表した。だが彼女たちは戦後、何の補償もないまま、地域社会から虐げられてきた。監督はいまソウル市日本大使館前の「平和の少女像」前に立ち、慰安婦として傷を負った女性たちを思う。勇敢な彼女達に会うため、監督はバングラデシュに旅立つ。
2021年/60分
監督のことば
私は 2009 年に韓国に帰化したバングラデシュ人です。韓国に住むうちに、朝鮮の日本統治時代に多くの女性が日本軍慰安婦として動員され、性奴隷となった事実を知ることになりました。そしてそれは私にバングラデシュの「ビランガナ」を思い起こさせました。日本軍慰安婦について被害女性自身が直接語る事によって社会に知られ始めたように、バングラデシュで起こった戦争の強姦被害にあった女性たちの話を、彼女たちの声に直接込めて知らせたいと思い、このドキュメンタリーを企画しました。
監督プロフィール
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セ・アル・マムン
1974 年、バングラデシュのダッカ生まれ。大学生だった1998 年に韓国へ移住。2001 年から移住労働者人権運動へ身を投じる。2012 年から文化芸術活動を始め、短編映画を作り始める。現在は移住民文化芸術団体「アジア メディア カルチャー ファクトリー」を立ち上げ活動している。