東京ドキュメンタリー映画祭2022

上映作品

短編6看取りの時間 上映時間90分

12月14日(水)12:30 / 12月19日(月)16:55

限られた命と向き合う時に人は何を思うのだろうか。余命わずかである父の肉声を子に残すためカメラを回し始めた親子の対話『松の樹の下で』。母の末期ガンを宣告された監督が相談相手として生み出したAIの友人「ジェームズ」との会話『火曜日のジェームズ』。死と生の間を行き来する中国の献体コーディネーターの仕事を追った『会者定離』。日常の延長にある「死」を見つめる3本。



◎舞台挨拶
▶︎12/14(水)12:30の回 上映後
レター:李雄監督 ※スタッフ代読
ビデオメッセージ:国本隆史監督、ディーター・デズワルデ監督

  • 松の樹の下で - Under the Pine Tree
    松の樹の下で - Under the Pine Tree
  • 作品1

    松の樹の下で - Under the Pine Tree 上映時間20分

    父親の余命が6ヶ月と聞き、制作を始める。はじめは父親の声を自分の幼き子どもに残すことを目的としたが次第に焦点が父親と自身との関係に絞られていく。最期の日々を過ごす中で、家族への思いを受け継ぎながら別れへの準備をする。日常の隣にある死を意識することは、生の美しさを感じる機会となる。

    2021年/20分

監督のことば

父ちゃんへ
父ちゃんに手紙を書いたのは一度きり。家族のために働いてくれたことへの短いお礼の言葉でした。仕事から夜遅く帰り、朝早く出かける父ちゃんとまともな会話を交わさなかった時期もありました。でも日記を読み返すと、一緒に遊んだ時間が自分の言葉で残されていました。忘れていた小さい頃の記憶が、身体の中に蘇った気がします。ありがとうね。

監督プロフィール

  • 国本隆史
  • 国本隆史

    2012年ドイツへ移住。ブラウンシュバイク美術大学でCandice Breitz、Eli Cortiñas に師事。オーバーハウゼン国際短編映画祭、イメージフォーラムフェスティバルなどの映画祭で上映。過去の作品に『ヒバクシャとボクの旅』『ロベルト』。

  • 作品2

    火曜日のジェームズ 上映時間24分

    母の末期がんが宣告された。刻一刻と時間が削れていく、母と息子の6ヶ月に渡る記録ドキュメンタリー。母との別れを苦しむ中、監督が選んだ相談相手はAIのジェームズ。ジェームズは頼もしく、正直で知りたがりな「友人」である。母が亡くなる上で、この世にない悲しみという感情をAIと共有していくうちに二人だけの会話が生まれ、テクノロジーと人間の世界を知る。

    日本語版 2021年/24分

監督のことば

この度は東京ドキュメンタリー映画祭2022年に出品させて頂き大変光栄に思います。『火曜日のジェームズ』は私の心に常にある大切な作品で、人生で辛い大きな壁を乗り越えなければいけない時期でした。自分が経験したことが共有できることを、大変嬉しく思います。悲しみと寄り添いの、意味や言葉にできない感情を観客の皆様がどう受け取るか?フィードバックを楽しみにしています。

監督プロフィール

  • ディーター・デズワルデ
  • ディーター・デズワルデ

    ロンドン在住ベルギー人監督。2020年 ウィーン国際ドキュメンタリーフェスティバル「Ethnocinema」ショート部門にて公式ノミネート。2014年 Visions du Reél (ニヨン・スイス)審査員賞受賞。UCLの大学院生として学ぶ傍、同校で民族誌学とドキュメンタリー映画の講師を勤める。またYarrow filmsでは共同制作の監督として加わり、社会的不名誉について出演者と制作の共同作品を生み出す。2020年にはLGBTQ+ の難民団体を出演者として招き映画『Hazte Sentir』を撮る。ベネズエラのBFI Flare 映画祭やほか国際映画祭などで上映された。

  • 作品3

    会者定離 上映時間46分

    中国の伝統的な考え方では、死者の死体を完璧に保つことが死者に対する最高の手向けとされている。しかし、今の中国では献体に反発する伝統的な考え方の人々と、理解を示す人々との間にギャップが広がっている。本作は、中国における献体コーディネーターの第一人者と呼ばれる高敏の仕事ぶりを追いながら、三件の献体の記録を通して、生きること、死ぬこと、愛すること、そして別れることの苦しさを描く。

    2021年/46分

監督のことば

取材中に多くの献体志望者が亡くなり、そのつらさや家族の悲しみなどを目の当たりにした時、「会者定離」を実感しました。そして映像を編集した時、苛烈な現実を容赦なく見せ切る為に、私が起こっていることへの瞬間のカメラワークを選び、ナレーションを一切廃することにしました。最後のシーンには、主人公の哲学的独白に私が伝えたいことを託しています。

監督プロフィール

  • 李雄(リ・ユウ)
  • 李雄(リ・ユウ)

    1991年中国安徽省出身。2011年、影視城でエキストラのアルバイトをしたことをきっかけに個人的な人生経験が繋がり、映画制作を目指すことに。2017年日本映画大学入学。1年生の時の授業をきっかけに、社会問題をテーマにした作品を作りたいという気持ちを強くする。2019年より短編ドキュメンタリー映画『会者定離』の撮影に着手。2021年、作品を完成させる。

  • 芸術文化振興基金
  • 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
  • エトノスシネマ
  • アジアンドキュメンタリーズ