東京ドキュメンタリー映画祭2022
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > 『クラ ―西太平洋の遠洋航海者』『ギサロ』

上映作品

特集1『クラ ―西太平洋の遠洋航海者』『ギサロ』 上映時間117分

12月16日(金)10:00 / 12月23日(金)12:20

人類学者マリノフスキーの著書で知られる、ニューギニア島のトロブリアンド諸島におけるクラ交易。カヌーに乗り、風を頼りに島々を渡りながら、貝殻でつくられた首飾りと腕輪を交易する人びとの姿をカメラにおさめた奇跡の1本。同島のカルリ族が着飾って歌合戦をし、歌手にヤケドを刻む儀礼を撮った『ギサロ』を併映。
(※審査員作品)

  • クラ  ―西太平洋の遠洋航海者
    クラ  ―西太平洋の遠洋航海者
  • 作品1

    クラ ―西太平洋の遠洋航海者 上映時間67分

    クラとは、ニューギニア東海上の島々で行われる赤い貝の首飾りと白い貝の腕輪の儀礼的な交換で、民族学者マリノフスキーの同名の著書によって広く知られている。著書出版から50年後に、9隻のカヌーで船団を組み、トロブリアンド島から南の島に向かい、首飾りを獲得するクラに3か月間同行取材した全記録。現実的な利益は何もない行為に人生をかける人々を、同時録音を多用して活写。
    ©︎y.ichioka

    監督=市岡康子/プロデューサー=牛山純一/1971年/67分

  • 作品2

    ギサロ 上映時間50分

    ニューギニアの心臓部に広がる、青木ヶ原の50倍の樹海に住むカルリ族には「ギサロ」と呼ばれる儀礼がある。それは2つのロングハウスの間で行われる歌合戦で、招待された歌い手は入念に着飾って、訪問先の地域にある地名や樹木、鳥などの名を織り込んだ歌を歌う。それらは死んだあの人、この人を思い出させ、涙を流す者が出る。歌手は名歌手と称えられるが、悲しみを与えた代償にたいまつで背中を焼かれる。
    ©︎y.ichioka

    監督=市岡康子/1987年/50分

監督のことば

20世紀後半ほど、猛烈なスピードで人類の生活が画一化に向かって変わった時期はないでしょう。「すばらしい世界旅行」が制作された1964年から90年にかけて、わたしたちは諸民族の文化がまだ生き生きと機能している世界を探して、記録しようと努めました。『クラ』の完成から50年、このほど東京ドキュメンタリー映画祭の人類学・民俗部門コンペティションの審査員をするにあたり、ニューギニア島で撮影した作品3本が上映されることになりました。どこよりも文化の核が強く、わたしが愛着を持つこの島の諸相を味わっていただければ幸いです。

監督プロフィール

  • 市岡康子
  • 市岡康子

    1939年、中国長春生まれ。東京都立大学人文学部卒業。62年日本テレビ入社、牛山純一プロデューサーの開拓した「ノンフィクション劇場」でドキュメンタリー制作に入る。72年テレビ番組制作会社「日本映像記録センター」設立に参加。66年から90年まで『すばらしい世界旅行』のディレクターとしてアジア太平洋の民族を民族誌的な視点から記録した。2001年から2007年まで、立命館アジア太平洋大学教授。

  • 芸術文化振興基金
  • 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
  • エトノスシネマ
  • アジアンドキュメンタリーズ