東京ドキュメンタリー映画祭2022

上映作品

短編音とリズム 上映時間116分

12月13日(水)14:05 / 12月22日(金)11:55

技能五輪全国大会に出場する技術者たちの見事な腕さばきを捉えた『産業革命史』。大阪万博から半世紀を経て、ある大学で蘇ったバシェの音響彫刻の再演『音と形 -Sound and Structure-』。パンクバンドと売れっ子ピアニストを同時期に追った『オール・ザ・グレース』。三者三様の音とリズムが、スクリーンの上で跳躍する。

◎舞台挨拶
▶︎12/13(水)14:05の回 上映後
 登壇:岩田隼之介監督、柴田誠監督、ジュリアン・ビアバン・レヴィ監督

  • 産業革命史
    産業革命史
  • 作品1

    産業革命史 上映時間11分

    技能五輪全国大会に出場する選手たちの訓練の日々を記録した作品。木材や鋼鉄などの一次的な加工材、プリント基盤や電子部品など製品同士の接続、プログラミング言語を操りPC内で構築するものなど、各種目を記録していると人類が生み出してきた産業の変遷が見えてくる。全てが現在の生活に欠かせないものだが、選手が駆使する身体や指先の動作は、扱う道具や機械と適応し様々な姿を見せる。産業と人間の身体的な関係に迫る。

    2022年/11分/日本

監督のことば

身体が機械を動かすのか、機械が身体を動かすのか、選手たちの正確な反復運動を見ているとそんな事を思います。扱う素材、扱う道具や機械に適応する形にアップデートされていく身体の各部の違いに関心を示しつつ、あらゆる差異の積み重ねを確認することに置いて、常に変わらない目の役割の純粋さと鋭さに引き寄せられるようにカメラを向けました。

監督プロフィール

  • 岩田隼之介
  • 岩田隼之介

    映画監督として埋もれつつある街の歴史を描きつつ、撮影当時14歳の現地中学生を実名で主演に配し、街と人の変化をドキュメンタリー性とフィクション性を横断して構成した長編映画「Switchback」などがある。映像作家として様々な成り立ちのプロジェクトで映像作品を残している。名古屋市在住。

  • 作品2

    音と形 -Sound and Structure- 上映時間52分

    バシェの音響彫刻は、1970年大阪万博「鉄鋼館」で作られた誰もが触れて音を出して楽しめる【音の鳴るオブジェ】。万博閉幕後はすべて解体、倉庫で眠ったままだったのを、2015年に京都市立芸大において修復・復元。「大学会館」に展示され、そこは音響彫刻の音に満たされることになった。芸大は2023年にキャンパスを移転。これは、移転前のキャンパスとバシェの音響彫刻の、後世へつなぐ《音と構造》の記録である。

    2023年/52分/日本

監督のことば

半世紀の時を経て出会ったバシェの音響彫刻。コロナ禍のなか「触れることで完成する美術」に魅了された。2022年夏から岡田加津子教授のコンセプトを元に撮影を始める。2023年2月、音楽家ユニット【アンサンブル・ソノーラ】の協力を得て、キャンパス移転で再現できなくなる即興・ワンテイクのレコーディングを実施。手で弦で、様々な道具で触れて響く音。その音が繋がって、「音楽が生まれる瞬間」を見ていた。

監督プロフィール

  • 柴田誠
  • 柴田誠

    2002年「雪印・牛肉偽装詐欺事件」内部告発を行った「西宮冷蔵」を追ったドキュメント『ハダカの城』を制作・監督。2007年に東京「ポレポレ東中野」にて劇場公開された。現在は、【N.U.I. project】メンバーとして、アーティスト・パフォーマンスやイベント記録等
    様々な映像制作に携わっている。

  • 作品3

    オール・ザ・グレース 上映時間53分

    自身もパンクミュージシャンであった監督による、クラシックとパンクという「全く別の」「メインカルチャーから排除された」音楽ジャンルを融合させたドキュメンタリー。撮影を進めるうちに監督の想定は外れ、音楽だけでなく日常の詩的な空気を含んだものとなってゆく。親密な瞬間、悲哀、幸福、それらが曲となり絡み合ったひとつのアルバムがここに完成した。本作は2017年から18年に撮影され、ライヴ映像はパンデミックが始まった2020年のステージを収録。そこにあるのは「それ」以前の世界。そしてアリス=紗良・オットが2019年に「多発性硬化症」であると発表される直前の世界も意味する。

    2023年/53分/フランス

監督のことば

私は音楽というものをこれまで誰も見たことのない形で表現したいと思って、「理論上」では全く共通点のない二つの世界を組み合わせることを思いつきました。そこから生まれたこのドキュメンタリーが教えてくれたのは、実はこの二つに「パッション」という点で共通点があることだったのです。

監督プロフィール

  • ジュリアン・ビアバン・レヴィ
  • ジュリアン・ビアバン・レヴィ

    パリ生まれ、現在は東京を拠点に活動しているライター、映画監督。フランスで哲学を学んだ後、ミュージシャンとしてバンドのメンバーと共に世界中のパンクシーンを巡る。その後NYに渡りインスタレーションや映像などマルチメディア・アーティストとして活躍の幅を広げる。2023年3月に初の書籍「LES DOULEURS PREMIÈRES」を出版。

  • 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
  • エトノスシネマ