東京ドキュメンタリー映画祭2022

上映作品

特別舞踏の世界 上映時間73分

12月13日(水)16:35 / 12月18日(月)16:40

舞踏を記録した映画の特集。2021年にも上映されたダンスユニットが、地中海のマルタ島を舞台に踊る『後背・地』。万城目純による《PERFORMATIVE LYFE》シリーズの最新作『鳩の沐浴 Ablutions』。2006年の「大野一雄100歳の日」の様子や、その前年のジョナス・メカスと監督のヴィルジニ−・マルシャンの日本の旅を描いた『てんかん症のオペラ舞踏』の3本を上映。

◎舞台挨拶
▶︎12/13(水)16:35の回 上映後
 登壇:万城目純監督
 ビデオメッセージ:ヘイケ・セルザー&アナ・ベーア監督

 

  • 後背・地
    後背・地
  • 作品1

    後背・地 上映時間5分

    マルタの街路や小道を巡る歩みを、自分ではない他者の視点で体験する旅路。地元の住民や女性たちからは慣れ親しんだ現地の空気を、異邦人であるツーリストからは新鮮な驚きや感覚をもたらしてくれる。マルタの歴史的建築や建設現場から浮き彫りになっている、文化遺産と開発問題、地域の姿も見所。

    2023年/5分/マルタ

監督のことば

『後背・地』は、マルタの風景に浮かぶ多様なテクスチャーや色彩、サウンドスケープによって、観客の鋭敏な感覚が呼び覚まされる作品です。作品の映像とサウンドスケープを通して感じられるのは、スクリーンの儚さ。そこに映されている環境の細部にフォーカスし、物や自然の中の動きの軌跡から伝わってくるのは、「ヨーロッパの先進国」と「牧歌的な地中海の島」としての狭間にあるマルタの緊張感なのです。

監督プロフィール

  • ヘイケ・セルザー&アナ・ベーア
  • ヘイケ・セルザー&アナ・ベーア
    WECreate Productionsは、スクリーン・ダンス・アーティストのアナ・ベーア(メキシコ / 米)とヘイケ・セルザー(独 / 英)によるユニット。 共同創作に役立つデジタル技術の可能性を探求し、ランドスケープ、場所、その地に固有の物語に基づいた、学際的な作品を制作している。

  • 作品2

    鳩の沐浴 Ablutions 上映時間19分

    2023年早春、永らく続いた引き籠りから外に出ると、箝口令は解けはじめ、外部への視点が蘇ってきたように思えた。ただ、よく周りを見回してみると、そこは貧困と戦禍の風景があふれる状況でもあった。そんな状況を一人の女性の身体に託し、手持ちカメラでワンシーンワンカットを基本として撮り上げた。2010年から継続する「丸ごとの生( 別枠の人生 )」をとらえる映像《PERFORMATIVE LYFE》シリーズの一遍。

    2023年/19分/日本

監督のことば

アイルランドの詩人/劇作家W.B.イエーツの『鷹の井戸』は人間の果てしない欲望をケルト神話と能の形式を用い、描いたともいえる。ならば、生身で既存の様式をもたない私たちは『鳩の沐浴』をもって、その現実に個別のカメラ・アイを持って即興的に立ち向かうしかない。その思いからタイトルは付けられた。出演の 〇hiromi (maru hiromi)はアーチストであり、本作の編集も手掛けている。

監督プロフィール

  • 万城目 純
  • 万城目 純
    映像:IMAGE FORUM FESTIVAL‘97大賞、バンクーバー(カナダ)、ロッテルダム(オランダ)、ブリスベン(オーストラリア)、ロンドン(イギリス)など国内外の国際映画祭に招待参加。身体表現:ダンス:カンパニー「ホワイトダイス」を舞踏家・相良ゆみと共同主催。韓国・ドイツ・イタリア・イギリスなどの国際プロジェクトに招待参加。

  • 作品3

    てんかん症のオペラ舞踏 上映時間49分

    ジョナス・メカスとヴィルジニー・マルシャンは、NYのブルックリンで舞踏の巨匠・大野一雄との日本でのダンスプロジェクトの準備をしていた。マルシャンが踊っているときの感覚をカメラに収めるにはどうすればいいか、またマルシャンがルールに縛られないダンスを、大野一雄と深く共有するにはどうすればいいかを模索し、ふたりで試行錯誤を続ける。その後、メカスとマルシャンは「大野一雄100歳の日」を祝う会に招かれ、メカスはその一日を撮影、また、その後日本各地におけるマルシャンのダンスも撮影する。晩年におけるメカス、および大野一雄の貴重な一頁を知れることに加え、詩人による朗読や、ブルックリンやナポリのヴェスヴィオの頂上におけるマルシャンのさまざまなダンスも堪能できる作品。

    2023年/49分/アメリカ

監督のことば

『てんかん症のオペラ舞踏』は、〈人生を詩として生きる〉ことを主眼とした作品です。私は晩年のジョナス・メカスと行動を長くともにしていましたが、本作はメカスが撮影し、私が監督しました。ふたりのダンスを軸とした、日常におけるさまざまな瞬間が画面には記録されています。

監督プロフィール

  • ヴィルジニ−・マルシャン
  • ヴィルジニ−・マルシャン
    舞踏家・映像作家。1984年日本で生まれ、5歳の時フランスに戻り、その後パリでダンスと映像を学ぶ。2004年、パリでジョナス・メカスと出会い、その後、晩年まで行動を共にした。

  • 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
  • エトノスシネマ