2021年に横浜で始まったOUTBACKアクターズスクール。精神疾患を持つ人たちが、自らの実体験を盛り込んだ演劇公演に挑む、その過程に密着した。メンバーの豊かな個性がそのまま劇中のキャラクターとなり、それぞれの困難な人生がユーモアに反転され、物語へと紡がれる。公演が近づくにつれ、緊張から体調を崩すメンバーも現れる。舞台というフィクショナルな空間に各々の人生が凝縮され、演劇はドキュメンタリーへと変容する。
◎舞台挨拶
▶︎12/4(水)12:40の回 上映後
登壇:飯田基晴監督、中村マミコさん(OUTBACKアクターズスクール校長)
▶︎12/7(土)11:55の回 上映後
登壇:飯田基晴監督
コロナ禍のロックダウンで家に隔離された父親(監督自身)が、息子との関係を修復すべく、率先して風呂に入れ、髪を洗う物語。悲願の長男が生まれ溺愛する父の想いとは裏腹に、幼い息子は母親への愛着を強めていく。中国の伝統的な考えに縛られた父は、感情の爆発や男尊女卑的な態度をとるなど、子育ての失敗と反省を繰り返すが…嫉妬し、世話を焼けば焼くほど空回りしてしまう父と、家族のささやかな日常がユーモラスに描かれ、笑い、泣きながら、親子の互いの成長が見えてくる。
◎舞台挨拶
▶︎12/3(火)16:55の回 上映後
ビデオメッセージ:カン・シーウェイ監督
▶︎12/7(日)10:00の回 上映後
登壇:カン・シーウェイ監督
30年以上のキャリアを持つ俳優・谷本進のひとり芝居に密着した『DieAter』シリーズの藤本監督の最新作。近年は体調を崩し、精神的にも不安定となり表舞台から消えていた谷本は、なぜ7年ぶりに俳優への本格復帰を志したのか。そして、なぜまた一人芝居なのか。迫真の稽古を近い距離で捉えたカメラが、鬼気迫る谷本の表情の奥にある、虚実の被膜をえぐり出す。
▶︎12/2(月)16:55の回 上映後
▶︎12/8(日)14:30の回 上映後
登壇:藤本純矢監督、谷本進さん(主演)
東南アジアで「ひとりNGO」として活動し、2022年に71歳でこの世を去った栗本英世の人生を、生前の彼の映像や、関係者の証言でひも解く。人身売買や地雷の危険にさらされた人々を支援し、子どもの教育のため草葺きの寺子屋を立てるなど、各地を奔走した栗本。いつも一文なしで、手ぶらで現れることから、いつしか「OKA(カンボジア語でチャンスの意)」と呼ばれるようになった。何が彼をそこまで駆り立てたのか。彼が残したものとは?
◎舞台挨拶
▶︎12/8(日)16:30の回 上映後
登壇:牧田敬祐監督、皆元聡さん(元「カンボジアこどもの家」スタッフ)
大阪・吹田市にある元学生寮で、30年にわたり子どもたちに英会話やミュージカルを教えてきた女性がいる。だが建物は老朽化し、趣味で買った機織り機が埋もれていた。そこにかつての教え子たちが集い、まちづくりの拠点として再生を試みる。やがて現れたのは、家業を継ぐことに悩むうどん屋の青年。機織りに興味を持った彼も、驚きのアクションを起こしてゆく。2019年の本映画祭でグランプリを受賞した今井監督による、人と人、人と街が紡ぐ“思い”の物語。
©︎ちょもらんま企画
◎舞台挨拶
▶︎12/1(日)18:40の回 上映後
▶︎12/10(火)11:50の回 上映後
登壇:今井いおり監督
茨城県にある私塾「轍(わだち)学舎」。元教員の柳田尚久塾長のもとには、不登校の中学生たちが彼を慕ってやってくる。虫は好きだけど勉強は嫌いなジュンペイ。奇抜な絵を描く、ピンク色の髪のユウナ。友達関係に悩む利発なミヒロ。中学校には行けないが、この先、進学はどうするのか。将来何になりたいか…。尽きない彼らの悩みに粘り強く対峙する塾長の奮闘と、子どもたちとの心の交流を、ダイレクトシネマ的な手法で描く。
◎舞台挨拶
▶︎12/1(日)16:45の回 上映後
▶︎12/10(火)10:00の回 上映後
登壇:大場丈夫監督
北京の片隅にある「共和国」と呼ばれる小さな部屋。ヤンとその友人たちは、サイケデリックな照明の下、酒を飲み、音楽を奏で、理想を語り合う。ここには時間の感覚も現実生活の重荷もないが、オンラインローンでこの場を維持するヤンには、借金の現実が重くのしかかる。ライフスタイルの変貌を余儀なくされるなか、「共和国」は維持できるのか!? 同じ空間に居続けるカメラが、「富国」と「強国」の幻想から解放された現代中国の若者たちを軽やかに映し出す。
◎舞台挨拶
▶︎11/30(土)16:45の回 上映後
登壇:ジン・ジャン監督
▶︎12/9(月)12:00の回 上映後
登壇:ジン・ジャン監督
佐渡島にある海辺の小さな集落、北鵜島。その素朴さと美しさに魅了された、英国ウェールズ出身の監督が10年にわたり東京からかの地へ通い、人々と風土を記録する。中世から続く神事「車田植」などの風習や、山海の恵みと厳しさと共に生きる人々の知恵や精神に触れるなかで、監督は故郷ウェールズでの思い出や、海洋学者だった父の最期に思いを馳せる。さまざまな歴史や記憶が重なり、やがて鮮やかな人間賛歌へと結実していく。
◎舞台挨拶
▶︎11/30(土)12:40の回 上映後
登壇:岩崎祐監督
▶︎12/9(月)14:20の回 上映後
登壇:ジョン・ウィリアムズ監督