東京ドキュメンタリー映画祭 in OSAKA
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > 知られざる「在日」の記録

上映作品

大阪2知られざる「在日」の記録 上映時間103分

2月27日(月)16:55

日本最大のコリアンタウン・大阪府鶴橋に遺された『キョンチャルアパート』や、太平洋戦争末期に朝鮮人労働者や強制連行者の手で作られた、奈良県の『どんづる峯と柳本飛行場』。京都府宇治市のウトロ地区に住む一家を中心に、文化を守り生きる人々の日常を描いた『ウトロ 家族の街』。遺構や暮らしの貴重な記録から「在日」の歴史と現在を照射する。

◎舞台挨拶
▶︎2/27(月)16:55の回 上映後
登壇:金稔万監督×武田倫和監督

  • 鶴橋本通り「キョンチャルアパート」
    鶴橋本通り「キョンチャルアパート」
  • 作品1

    鶴橋本通り「キョンチャルアパート」 上映時間11分

    キョンチャルアパートのキョンチャルとは、大阪市生野区所在の 旧鶴橋警察署跡のことである。この警察署は 1913 年から 1934 年まで存続し、その後この建物が 福祉団体に払い下げられ、戦後は更に民間に売却されてアパートとなり、2011 年に解体撤去された。このアパートが昔、警察署だったということから、地元では「キョンチャル(警察のハングル読み)アパート」と俗称されていた。解体後、ここに警察時代の煉瓦塀が残存していることが確認された。『幻のフィルムでつづる 建国の 60 年』を製作した故高仁鳳さんが遺された映像を再編集して上映する。

    2022年/11分

  • 作品2

    奈良「どんづる峯と柳本飛行場」 上映時間34分

    奈良県天理市では、1995年に誕生した歴史説明板が、歴史修正主義者の天理市長により2014年4月18日に突如取り払われ、さらにわたしたちが市民のカンパで建てた説明板を、法律違反も犯していないのに、「違反している、直ちに撤去を」(天理市農業委員会)と迫った。これら行為を公人 (市長、役人)が平然と犯しているところに、植民地支配未精算の闇の深さがある。今回上映する映像は2010年撮影の故藤原好雄さんのフィールドワークの様子と2018年8月に来られた遺族、金成嬉さんの証言を中心に編集した。

    2022年/34分

監督のことば

四角いスクリーンに映し出された映像世界を創り出すことは常に万人に平等であり、そこには何のヒエラルキーも差別も無いはずだ。誰にも開かれた豊穣な四角い映像世界。ドキュメンタリーをその四角い世界の中心戦略とすること。容易に言語化できぬ現実をそのままスクリーンに叩きつけること。そこから、スクリーンを媒介として絶えず観客と拮抗するドラマが立ち上がる。まだ視ぬドキュメンタリーを可視化せよ。敗者に映像はある。

監督プロフィール

  • 撮影・編集=金稔万
  • 撮影・編集=金稔万
    1960年、神戸に生まれる。両親は済州島出身の在日二世。2006年、布川徹郎(日本ドキュメンタリストユニオン=NDU)と出会い中崎町ドキュメンタリースペース=NDSを結成。「釜の住民票を返せ!2011」「龍王宮の記憶」などの製作を経て、現在は「まだ視ぬアーカイブを可視化する!」をテーマに青丘文庫研究会と神戸映画資料館との共催でかつての猪飼野(大阪生野区)で上映活動を続ける。今回上映する鶴橋本通り「キョンチャルアパート」と奈良「どんづる峯と柳本飛行場」もそこで上映された。
  • 作品3

    ウトロ 家族の街 上映時間58分

    戦後57年、日本に故郷を築いた「在日」の物語京都府宇治市にある在日朝鮮人の街「ウトロ」。現在この町の住民達は立ち退きを迫られている。親子四代にわたってウトロに住む田中(徐)信雄(57)にとって、ここはかけがえのない故郷。映画は彼の一家を中心に、故郷に住み続けるために闘いながら、独自の文化を守って生きるウトロの人々の日常を描き、ここに住み続ける意味を問う。

    2002年/58分

監督のことば

撮影から20年が経ち、街の整備が進み、平和祈念館が建設されるなど京都・ウトロを取り巻く状況も大きく変化しました。本作は20年前に強制代執行への不安に揺れながらも、力強く生きるウトロの街と家族の姿を描いています。ぜひ、当時のウトロの街の姿と住民の皆さんの思いに触れて、今のウトロに足を運んでいただき街の歴史や住民の皆さんと交流していただければと願っております。

監督プロフィール

  • 監督:武田倫和(写真) / 総指揮:原一男
  • 監督:武田倫和(写真) / 総指揮:原一男
    2001年原一男監督主催のOSAKA「CINEMA」塾参加。2003年「ウトロ 家族の街」を初監督。2010年南京大虐殺の元兵士・被害者を取材した 「南京 引き裂かれた記憶」、2014年地方の選挙がテーマの「イナかのせんきょ」、を製作・監督。2018年「破天荒ボクサー」「私の居場所」を製作・監督「破天荒ボクサー」は 東京ドキュメンタリー映画祭2018で長編部門準グランプリを受賞。
  • 芸術文化振興基金
  • エトノスシネマ
  • アジアンドキュメンタリーズ