東京ドキュメンタリー映画祭 in OSAKA 2021

上映作品

短編4自然との共生

3月24日(水)13:40~

  • 多摩川の野良猫写真家
    多摩川の野良猫写真家
  • 作品1

    多摩川の野良猫写真家 上映時間11分

    東京都多摩川の河川敷。ここに捨てられた野良猫達の厳しい実態を、世に伝えようと活動するカメラマンがいる。小西修さん。河川敷に捨てられた野良猫を撮影し、都内で写真展を開いている。猫の命や虐待された猫について考えてもらうことが狙いだ。今回は、多摩川河川敷で野良猫を撮り続けるカメラマン、小西修さんの活動を紹介する。  日本では1年間に約5.6万頭の猫が保健所に引き取られ、そのおよそ半数が殺処分されている。私たちは、動物愛護の先進国であるドイツを訪れ、動物と人間の関係やペットに対する考え方についても取材した。

    2020年/11分

監督のことば

私の実家には猫が4匹いる。彼らは皆、野良から保護した猫たちだ。4匹の中には、猫風邪を引いて目が腫れた状態で引き取った子や、野良猫時代に遭った交通事故の後遺症を抱える子もいる。多摩川河川敷の野良猫たちの姿が彼らに重なった。河川敷の野良猫達の環境は想像以上に厳しい。彼らの世話をし、必死に生きる姿をカメラに収める写真家。野良猫を「仲間」として、河川敷で共に生活するホームレスの人々。多摩川河川敷には様々な人間模様、猫模様が広がっていた。動物愛護の先進国と言われるドイツでの取材を通して、人間と動物との生き方を模索した。

監督プロフィール

  • 長谷夏帆
  • 長谷夏帆
    1998年、宮崎県生まれ。中央大学総合政策学部国際政策文化学科に所属。学部ではジャーナリズムを専攻し、ドキュメンタリー番組制作やルポルタージュの執筆を行う。これまで、日本で学ぶ傍ら借金返済と仕送りのために働くネパール人留学生についてや、太平洋戦争末期に宮崎県延岡市に墜落した米軍爆撃機B29について取材。
  • 作品2

    私たちの山 上映時間21分

    三重県と北海道で、今なお鹿を撃つことを生業とする猟師の生活をカメラが追う。後継者の不足や仕事としての難しさが語られるなか、彼らはなぜ山に入り続けるのか? 犬を伴い、鹿を仕留める実際の狩猟の緊迫したディティールが、ユニークなカメラワークで捉えられる。

    2020年/21分

監督のことば

客観的な記録手段として捉えられがちなドキュメンタリー映像に反映される、制作者や監督の主観に私は意識的である。 「先進国」である日本に留学し、人類学的な観察を重ねるなかで、東京や大阪などの大都市にみられる画一的な生活ではなく、山間部や島などでの固有の暮らしに関心が広がった。三重県と北海道の「異なる山」で営まれる「同じ生活」 を並行して提示することで、人間と山や動物との関係性、ひいては日本人の「民族性」について考えたい。

監督プロフィール

  • 孫天宇
  • 孫天宇
    1995年、南京生まれ。京都芸術大学大学院芸術文化領域映画研究科在籍。 東京都美術館で、『KUAD ANNUAL 2020 フィールドワーク:世界の教科書としての現代アート』出展。個人的な興味・関心から生まれるドキュメンタリ―制作しながら、歴史・文化・社会・政治を複層的にリサーチし、未来の社会に対して映像人類学的視点から何が提案できるのかを考える。
  • 作品3

    THE LIMIT 上映時間20 分

    世界自然遺産となった北海道・知床半島では、人とヒグマの互いの生活圏の境界線が重なり、ニアミスの頻度が高まっている。不幸な事故を避けるため、何度となくパトロールが行われ、目撃情報があればクマを遠ざけるよう奮闘し、子どもたちや増加する観光客への啓蒙活動も行われているが、それでも人のすぐ側にヒグマが現れるような状況が頻発している。有効な対策も見出せないなか、どうすれば人とクマは共存できるのか? クマの視点に立ったとおぼしい独特のカメラワークが印象に残る。

    2020年/20 分

監督のことば

「THE LIMIT」は、世界自然遺産としての知床が、人とヒグマとの間で苦悩する様を冷静に見つめる。辿り着く答えは人それぞれだろう。正解などどこにもないのかもしれない。
それでも、より良い解決のために限界まで知恵を絞るのは、私たち人間の果たすべき責任だ。

監督プロフィール

  • 今津秀邦
  • 今津秀邦
    北海道旭川市出身。映像作家・カメラマン。日本映画学校卒。動物の「行動展示」で名高い旭山動物園のポスターやパンフレットの写真撮影を2002年より担当し、海外のTIME紙や書籍、商品等への提供多数。旭山動物園の奇跡を描いた映画「旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ」(マキノ雅彦監督)では本編の動物撮影を担当。2017年、5年の撮影期間をかけて北海道の動物たちと自然をありのままに切り取った映画「生きとし生けるもの」で監督デビュー。その映像性が高く評価され、2017年度日本映画撮影監督協会 JSC賞をはじめ受賞歴多数.
  • 作品4

    セーブ・ザ・リーフ〜行動する時!〜 上映時間50分

    「海の母」とも言われるサンゴだが、今、気候変動などにより、地球上のあらゆる場所で白化現象による死滅、という現象が起きている。だがその原因や対策は、必ずしも明確になっったわけではない。本作は主に沖縄やオーストラリアで、サンゴの保護に試行錯誤する人々の取り組みを描く。人工による養殖サンゴの移植と産卵に成功した金城浩二さんをはじめ、白化現象を防ぐ研究を行う海洋学者など、様々な人の物語と取り組みに迫る。

    2020年/50分

監督のことば

気候変動や温暖化は世界中の様々な生態系に影響を及ぼしており、サンゴもその例外ではありません。白色化による影響で死滅するなど甚大な被害を受けており、 今、世界規模で保護活動における様々な試みが行われています。 本作品では主に沖縄とオーストラリアに焦点を当て、研究によって新たにわかってきたことやユニークな取り組みを、ナレーションを使わずに出演者たちの生の声で紹介します。 作品の中心的な存在である金城浩二さん(岡村隆主演の映画「てぃだかんかん」のモデル)はサンゴの白化を目の当たりにして、サンゴの植え付け法や仕組みを試行錯誤し、人工による養殖サンゴの移植と産卵に成功しました。その地道な活動や自身が語るこれまでの道のりは実に奥深く、環境問題に特別関心のない人でも引き込まれていきます。また、サンゴ礁の海上に塩の飛沫のみを用いた雲を作ることで 水温を下げ、サンゴの白化現象を防ぐ研究を行っている海洋科学者など様々な人が 登場しますが、彼らの生き生きとした姿やサンゴや環境に対する情熱が、観る者 に未来への希望を与えてくれます。この作品はサンゴ保全のドキュメンタリーであると同時に、サンゴ保全に取り組んでいる人々の物語なのです。

監督プロフィール

  • 島崎誉主也
  • 島崎誉主也
    1964 年、高知県生まれ。 映画専門学校で学び、制作会社での勤務を経て、1989 年に出向でオーストラリア勤務。2000 年に、撮影監督として永住権を獲得、現在に至る。
    主なテレビ撮影作品は「情熱大陸」「THE 世界遺産」。近年はドキュメンタリーの撮影・演 出にも力を入れ、2016 年制作のミニドキュメンタリー「Last Shoes」はアトランタ国際ドキ ュメンタリー映画祭にノミネート、2017 年から 2018 年は、TBS のミニ番組「FACES」の 撮影・演出を定期的に担当する。
  • 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
  • アジアンドキュメンタリーズ
  • エトノスシネマ