東京ドキュメンタリー映画祭 in OSAKA 2021 > 上映作品 > 焼け跡ダイアリー 〜ツインカレンダー 双子暦記〜
上映作品
長編3焼け跡ダイアリー 〜ツインカレンダー 双子暦記〜 上映時間80分
3月21日(日)16:20~
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2年前の本映画祭においてグランプリを受賞した『双子暦記・私小説』の映像作家・原將人の新作。2018年夏、一家は原因不明の火事に見舞われる。子供たちを逃し、新作のデータをかろうじて持ち出した原は火傷を負って病院に運ばれ撮影どころではなかったが、帰宅した妻・真織の記録した数日間の膨大な記録が残された。退院した原は、その映像を編集しながら、焼け跡の瓦礫の下から発見した未編集の8ミリ映像の断片を再生させる。家族の過去の記憶と火事の記憶を二重に記録したフィルムに音楽とナレーションかぶせた、重層的な映画空間。自らの生命を日々燃やし続けて生き撮影した映画とは、生命の『焼け跡ダイアリー』なのだと原は思い到るのだった。双子暦記シリーズ3作目の作品。
2019年/80分
監督のことば
実は、私が運び込まれた緊急病棟は熱中症の患者で一杯で空きがなく、翌日には退院させられました。その足で警察と消防による現場検証に立ち会ったのですが、その火傷の顔を焼け跡で待ち構えていた真織がしっかり撮影していました。編集しながら見ていると自分の顔とは思えませんでした。鏡に投影して視る時の自己イメージが引き剥がされて、火傷の向こうにDNAが透けて見えたのかもしれません。あれ?どこかで見た顔だなぁと思っていると、晩年の父の顔だったのです。そしてDNAといえば、瓦礫の下から発見した8ミリフィルムも、映画のDNAが透けて見えたのでしょう。映写機にかからないほどボロボロだったフィルムをなんとか編集器にかけてゆっくり手回しでみていくと、1コマ、1コマ、点滅していく映像の流れは、まさに映画のDNAだったのです。火事で大量のフィルムを失いましたが、こうして映画のDNAに出会えたことは予期せぬ僥倖にほかなりません。どうかその顛末に、私のDNAの発見に皆様も一緒に立ち会ってみてください。監督プロフィール
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原將人
1968年、高校在学中に『おかしさに彩られた悲しみのバラード』により第1回東京フィルムフェスティバルグランプリ、ATG賞を同時受賞。73年『初国知所之天皇』で映画の新しい地平を切り開き、後進たちに勇気と希望を与え、多くの監督たちを輩出した。97年『20世紀ノスタルジア』で日本映画監督協会新人賞。2002年『MI・TA・RI!』でフランクフルト国際映画祭観客賞。映画を視覚的な音楽と捉える映画への愛に溢れた独特の表現で知られる。