東京ドキュメンタリー映画祭 in OSAKA 2021

上映作品

特集1カナルタ―螺旋状の夢―

3月20日(土)16:20~/3月24日(水)11:00~

  • カナルタ―螺旋状の夢―
    カナルタ―螺旋状の夢―
  • カナルタ―螺旋状の夢― 上映時間120分

    セバスティアンとパストーラは、エクアドル南部アマゾン熱帯雨林に住むシュアール族。かつて首狩り族として恐れられたシュアール族は、スペインによる植民地化後も武力征服されたことがない民族として知られる。口噛み酒を飲み交わしながら日々森に分け入り、生活の糧を得る一方で、彼らはアヤワスカをはじめとする覚醒植物がもたらす「ヴィジョン」や、自ら発見した薬草によって、柔軟に世界を把握していく。変化し続ける森との関係の中で、自己の存在を新たに紡ぎだしながら。しかし、ある日彼らに試練が訪れる...。映像人類学の世界的拠点、英国マンチェスター大学出身の気鋭監督が放つ渾身作が、特異な表現で新境地を切り開く。

    2020年/120分

監督のことば

東日本大震災によって、私にとっての世界はガラガラと崩れ落ちた。突如として自分の肉体が真っ裸で地球と地続きになり、あらゆる生命と物質が行き交い死に行く場として認識された。巨大な代償と共に。一体今地球には何が起こっていて、人類はどこへ向かっているのか。探究し、表現したいと思った。徹底的に。腹の底の震えとともに、これまでの自分の固定観念を全て壊すつもりで足を踏み出した。ふと思った。「アマゾンの先住民の人たちは、現代の崩れゆく地球をどんな感覚で生きているのだろうか?」気付いたら体の良い研究計画を携えて森で足掻いていた。文化人類学は貴重な併走者となってくれたが、森の中で本は無残に破け散り、生身の私は容赦なく切り刻まれた。二重の視線と共に。再生は今も続いている。他者を理解するのではなく、他者と共有するために。この振動は、伝わるだろうか。疾風怒濤の共有空間へ、ようこそ。

監督プロフィール

  • 太田光海
  • 太田光海
    1989年東京都生まれ。神戸大学国際文化学部卒業後、パリ社会科学高等研究院(EHESS)人類学修士課程修了。モロッコやパリ郊外で人類学的調査に従事する傍ら、共同通信パリ支局で記者として活動。同時期、シネマテーク・フランセーズに足繁く通う。その後、マンチェスター大学グラナダ映像人類学センター博士課程に進学。アマゾン熱帯雨林での1年間の調査を経て、初長編監督作品『カナルタ』を発表。博士(社会人類学)。
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