東京ドキュメンタリー映画祭2020
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > 障がいと表現、生の軌跡

上映作品

短編6障がいと表現、生の軌跡

12月7日(月)14:00〜上映

  • ベジタブル・バスケット
    ベジタブル・バスケット
  • 作品1

    ベジタブル・バスケット 上映時間7分

    障害を持つ本人と周囲がどのように関わりを持つのかを、ささやかな物語を通して考察した短編。主人公ミョンジュはいつもの店で買い物をし、ジムに行き、食事をする。町の人々は普通に接してくるが、手元には独特の仕草。実はミョンジュは、耳が聞こえないのだった。しかし、周囲の人はそれを理解し、彼とコミュニケーションを取ろうとする。小さな八百屋を切り盛りする女性をはじめ、周囲の人が自然とコミュニケーションを取りながら、優しく過ぎる日常の時間を描く。

    2020年/7分

監督のことば

この作品は実際に健常者のミョンジュが手話を学ぶ過程で、感じていた世界とイメージを描かせて頂きました。私自身は聾者の世界というものを全く知りませんでした。障害という世界は、される側、してあげる側、足りないものを持つ人とそれを補う人でよく見られ、切り取られがちです。確かにそれもこの社会の中で、厳しい事実かもしれない。しかしその同軸で、お互いの形や特性に合わせ双方が手を差し伸べあい寄り添う時間が続いていく流れがある。そのような優しい時間が、ミョンジュと彼の仲間たちを撮影させて頂くにあたりほんの少しではありますが、学ばせて頂いたように思えます。ご協力して下さった全ての方々に感謝いたします。

監督プロフィール

  • 蔵岡登志美
  • 蔵岡登志美
    2001年より映像制作を学び制作を開始。2011年、富士吉田市 市制60周年記念事業で長編ドキュメンタリー「平成富士吉田の胎動」を制作。2012年 神戸大学槻橋研究室 東京学芸大学 エルメスジャポン株式会社と共に、「失われた街ギャラリーリーディング 気仙沼内湾」を制作。また同年、東京朝鮮第9初級学校にて「日本の中の小さな異国~ふるさと~」を制作。
  • 作品2

    ハンセン病を生きて 上映時間25分

    東京都東村山市にある国立ハンセン病療養所『多磨全生園』。ここに60年以上暮らしている女性がいる。山内きみ江さん。彼女は、7歳の頃にハンセン病を発症。戦時下で適切な治療を受けることが出来ず、神経は麻痺し、彼女の指はなくなった。その後、ハンセン病は自然治癒したが世間の目は冷たく、自ら故郷を離れ多磨全生園に移り住んだ。醜い手を見せたくないと固く心を閉ざす彼女だったが、保育園児との交流をきっかけにハンセン病を正しく理解して欲しいと強く願うようになった。2019年春、きみ江さんは自身初となる歌集を出版。ハンセン病に対する差別と偏見の中で、生き抜いてきた彼女の人生を描く。

    2020年/25分

監督のことば

昨年、熊本地裁が、ハンセン病の元患者家族たちが深刻な差別を受けたことへの損害賠償を認めた。ハンセン病の隔離政策が終わったのは1996年。つい最近のことである。ハンセン病への差別や偏見は、今もなお残っている。山内きみ江さんは今年の春、自身初となる五行歌集を出版。この本に納められた歌には、きみ江さんがハンセン病とともに生き抜いて来た苦しみとともに亡き夫への思いが込められている。山内きみ江さんの人生を通して、ハンセン病に対する長い差別の歴史、そして、いまもなお苦しむ彼らの思い、それと同時に保育園児たちの交流がもたらした一筋の光についても描いた。

監督プロフィール

  • 畠山桃子
  • 畠山桃子
    2000年3月16日生まれ 神奈川県出身 フェリス女学院中学高等学校卒業。現在中央大学総合政策学部政策科学科3年生。FLPジャーナリズムプログラム松野良一ゼミ所属。趣味はハムスターのお世話と絵を描くこと。
  • 作品3

    ピアノが私にくれたもの 上映時間66分

    4年に一度、世界各地で開催されている“ピアノパラリンピック”。2018年のニューヨーク大会に初出場した駒見里絵子さん(18)の演奏を、“ピアノパラ”創設者の迫田時雄さん(82)は高く評価する。駒見さんは国指定のある難病を抱えているが、家族はある理由でその病名を明かさない…ピアノを弾き続ける駒見さんと家族、“ピアノパラ”を作った迫田さん。三者の物語をナレーションなし、4Kの映像で、ピアノの音色とともに紡ぐ。

    2019年/66分

監督のことば

私たちが困難な状況にある時、”生きづらさ”を感じている時、最後に残る「希望」の一つは「音楽」ではないでしょうか。主人公の駒見さんは、小さいころからピアノと親しみ、今も弾き続けています。そのピアノ=音楽は、駒見さん本人にとって生きていく中で大切なものであるだけでなく、家族や周りの人にとっても大切な存在であり続けています。駒見さんのピアノの音色は、様々なことが起きていく日常の中で家族に安らぎの時間を与え、私たちの心にも暖かさを宿してくれます。
そして、この作品を通して社会の中に確かにある、見えない“生きづらさ”の存在に目を向け、想像をしてほしいと願っています。駒見さんが、自身の持つ「難病」の病名をなぜ公開できないのか・・・。公にできないこの社会に生きる、私たち一人ひとりに投げかけられている問題です。駒見さんのピアノの音色を通して、それぞれの人の感性で様々な“気づき”があることを願っております。

監督プロフィール

  • 佐々木駿平
  • 佐々木駿平
    1997年東京都生まれ。2020年3月、早稲田大学卒業。在学中に初めてのドキュメンタリー、『この“つながり”は切らせない ~熊本地震・ある下宿所の物語~』を制作。2作目である本作『ピアノが私にくれたもの』は、卒業制作として取り組んだ作品。前述の熊本地震の被災地を継続取材するために赴任を希望し、現在は熊本県にてディレクターとして番組制作に従事している。
  • 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
  • アジアンドキュメンタリーズ