東京ドキュメンタリー映画祭2022
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > 戦争の「声なき声」

上映作品

短編戦争の「声なき声」 上映時間107分

12月10日(日)12:00 / 12月19日(火)12:35

“海軍の街”佐世保の空襲で被災した祖父の話を起点に、現在の市民感情を掘り下げる『祖父の空襲体験』。原爆死した息子に対する母の慟哭を、女優・紺野美沙子が朗読する『星は見ている』。広島市内に今も点在する“被爆樹木”の面倒をみる樹木医を追った『広島の被爆樹木の声を聴く』。「戦争を語り継ぐこと」の現在地を知る3本。

◎舞台挨拶
▶︎12/10(日)12:00の回 上映後
 登壇:木村優里監督、小川典監督、山本和宏監督

  • 祖父の空襲体験〜戦争と平和を考える旅〜
    祖父の空襲体験〜戦争と平和を考える旅〜
  • 作品1

    祖父の空襲体験〜戦争と平和を考える旅〜 上映時間20分

    祖父が空襲を体験した大学生・木村優里が佐世保の街を訪ね、空襲の記憶を祖父や父とともにたどる。優里の祖父・木村之一(94)は中学生の頃に佐世保大空襲を経験した。当時の経験を振り返りながら、二度と戦争を起こしてはならないと祖父は優里に語る。一方で佐世保は現在も軍港としての役割を持ち、地元経済は米軍や自衛隊に支えられており、空襲の被害を伝承する活動はやりにくい一面もある。若者の目に映った佐世保の今を追う。

    2022年/20分/日本

監督のことば

長崎県・佐世保市は、戦前は日本海軍の拠点であり、太平洋戦争中には佐世保大空襲などで攻撃の標的となり、多くの犠牲者を出しました。現在も防衛の要所として存在し、地域経済は軍事と深く結びついています。しかし、戦争体験の被害を伝承する活動は難しい側面があると、当時のことを語り継ぐ人々は声を潜めています。ウクライナや中国、北朝鮮情勢の緊張が高まる中、本作品では佐世保を通じて戦争と平和について考えました。

監督プロフィール

  • 木村優里
  • 木村優里

    2002年生まれ、神奈川県横浜市出身。上智大学文学部新聞学科3年生。
    ドキュメンタリー映像を制作するゼミと体育会ラクロス部に所属。
    この作品以外に『ユリがつなぐHappy Feeling』『移住 ある島の日常』『HIV感染者について知ってください』などがある。

  • 作品2

    星は見ている 上映時間38分

    “原爆で子供を失った親たちが、亡き子を偲ぶために綴った追憶記「星は見ている–全滅した広島一中生父母の手記集」。その中の一編に感銘を受けた女優・紺野美沙子さんが、後世に広く伝えるべく映像化を企画。自身がライフワークとして続けている朗読をベースに、広島の街並み、“あの日”を伝えるアーカイブスや絵画、“あの瞬間”から時を止めたままの被曝資料など、当時の状況を伝える様々な“物語”で映像を構成した作品。

    2022年/38分/日本

監督のことば

紺野美沙子さんの“想い”から始まったこの企画。その“想い”と“朗読”(=原作)に寄り添うことを意識して、映像化に向き合いました。手記の原題が「追憶」であったこと、被曝樹木や被曝ポンプなど“あの日”を語るモノが街の至る所に、今も当たり前のように存在していること、そしてそれらを守ろうと活動を続けている人たちがいること、そんな気づきと出会いが、この作品をカタチにする上で大切な要素となりました。

監督プロフィール

  • 小川 典
  • 小川 典

    ニューヨークで映画制作を学び、以降様々な映像作品を手掛ける。現在はドキュメンタリーを中心に制作。過去の作品に、「Quarter」(2009年劇場公開)、「触れる 感じる 壊れる絵本」(2014年国際エミー賞ノミネート)、「霧が晴れるとき」(2021年劇場公開)。

  • 作品3

    広島の被爆樹木の声を聴く 上映時間49分

    「木の声を聴きなさい」は、被爆樹木を守る樹木医の堀口力さん(77)が大切にしている言葉。「75年、草木も生えない」といわれた土地に命を吹き返し被爆者に生きる希望を灯した被爆樹木。今もこの地で私たちに、平和の尊さを無言で教えてくれる。ウクライナ侵攻が続く中、この木のメッセージを代弁してくれる樹木医、被爆者、子どもたち…の言葉から「平和と緑」をテーマに「日常の尊さ」を描いた1年間のオムニバス。

    2023年/49分/日本

監督のことば

私には被爆した親戚もいますが、それでも遠く感じる原爆の話。
戦争関連の番組を制作することも目標に、転職で広島に帰り5年目…。
街のそこかしこで生きる被爆樹木に惹かれて、製作しました。
「なぜ被爆樹木に惹かれのか?」映像で表現できたと思います。
被爆樹木のほとんどは近くで触れることができます。
身近な緑があることの尊さを一際感じる今、広島にお越しの際は「木の声」を聴いてみてださい。

監督プロフィール

  • 山本和宏
  • 山本和宏

    1987年、広島県出身。2010年より「テレコムスタッフ」で「世界の車窓から」やNHKのドキュメンタリー番組を制作。
    2018年より「RCCフロンティア」で制作。「2万人をつなぐ農チューバー」民放連盟賞中四国ブロック優秀賞。ドキュメンタリー番組「日本のチカラ」では民間放送教育協会会長賞、奨励賞など多数受賞。