東京ドキュメンタリー映画祭2022
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > エスニシティを超えて

上映作品

短編エスニシティを超えて 上映時間97分

12月11日(月)16:20 / 12月17日(日) 10:00

パンデミックの時代、日韓の女性4人がアバターで連帯し、ジェンダーのありかたなどを語り合う『瞬間移動』。台湾の港町・基隆で息づく在台コリアンの女性を描く『岸を離れた船』。サンノゼのベトナム人街の家に置かれた固定カメラが、アメリカ社会を照射する『アンラックの家』。歴史や社会を越境し、躍動するアジアの監督たち。

◎舞台挨拶
▶︎12/17(日)10:00の回 上映後
 登壇:苗加奈那監督、丹沢千文監督、黄威勝監督、山崎春蘭監督

 

  • 瞬間移動
    瞬間移動
  • 作品1

    瞬間移動 上映時間22分

    韓国で暮らすキティとトミー、日本で暮らすミアとエマ。
    国境を越えることが難しいパンデミックの時代に、オンラインを通して友情を育む。
    遊び心のあるデジタルジェスチャーで、互いの人生を交差させ連帯を試みる。

    2022年/22分/日本、韓国

監督のことば

日本と韓国に生きる4人の女性の人生に20分間、耳を馳せてもらえたらと思います。それぞれ異なる背景に生きながらも、彼女達は自分達の人生に交差性を見出し、小さな連帯に希望を託します。日々、性暴力や性差別により多くの人が傷付く理不尽なニュースを目にします。抵抗の手段として、この映画が、連帯の第一歩である「対話」のきっかけになれば嬉しいです。連帯により少しでもより良い未来を想像したいと願います。

監督プロフィール

  • ナム・アルム、丹沢千文、苗加奈那、クォン・オヨン
  • ナム・アルム、丹沢千文、苗加奈那、クォン・オヨン

    ナム・アルム(右上):
    韓国ソウルを拠点に活動するドキュメンタリー監督。

    丹沢千文(右下):
    日本の性暴力に関するドキュメンタリーを制作、勉強中。

    苗加奈那(左下):
    フェミニズム勉強中。

    クォン・オヨン(左上):
    韓国芸術総合学校にて映画を学ぶドキュメンタリー監督。

  • 作品2

    岸を離れた船 上映時間30分

    かつて大日本帝国が植民地統治する朝鮮半島から台湾へ移住した韓人の中で358人が終戦後もそのまま台湾に残り、港町基隆の勝利街に住んでいました。本作は70才を超える在台コリアンの「韓僑」女性三人に光をあて、韓国籍のまま勝利街で過ごした日々、二つの国の狭間で揺れ動く胸のうちをあぶり出しています。

    2022年/30分/台湾

監督のことば

終戦とともに、台湾は新たな統治者の中華民国に接収され、「韓僑」と呼ばれる在台コリアンの帰還事業は困難を極め、358人の韓僑がそのまま台湾で根を下ろしました。彼ら・彼女たちの多くは港町基隆の勝利街に住んでいましたが、現在はそのほとんどが進学や就職、結婚などを理由に勝利街を離れて暮らしています。本作は、70才を超える韓僑女性三人に光を当てた記録です。かつてあった基隆韓僑国民学校で大韓民国の国旗を揚げ、ハングルや朝鮮民謡を教わった思い出、キムチ作りにまつわるあれこれなど、彼女たちが勝利街で過ごした日々の片鱗をすくいあげた作品となっています。

監督プロフィール

  • 黄威勝 、許鴻財
  • 黄威勝 、許鴻財

    黄 威勝(右):
    1974年台湾新竹市生まれ。大学卒業後、週刊誌『壹週刊』の専属フォグラファーとして、 同誌のデジタル部門でキャリアを積む。現在は、鏡電視(ミラーTV)でドキュメンタリーを 制作している。出品作品『西索米〜人の最後に付き添う女たち〜』は東京ドキュメンタリ ー映画祭2018の短編部門で観客賞を受賞。2020年『三道嶺ブルース — 消えゆく蒸気機関 車と生きて』は金穂奨(ゴールデン・ハーベスト・アワード)の最優秀ドキュメンタリー映 画賞にノミネートされた。

    許 鴻財(左):
    台湾在住のミャンマー系華僑。国立台北芸術大学大学院映画制作科に在籍。『公雞(ニワト リ)』が第72回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門にノミネート。2018年、『遙遠之 地』で金穂奨(ゴールデン・ハーベスト・アワード)の学生部門・最優秀ドキュメンタリ ー映画賞を受賞。2020年、『以啟山林』が同映画祭の一般部門で優秀賞を受賞、高雄映画 祭コンペティション部門にノミネート。

  • 作品3

    アンラックの家 上映時間45分

    シリコンバレーを擁する米カリフォルニア州サンノゼ。ベトナム仏教寺院の敷地内に建つ、とある一軒の家。室内の固定ショットと、常に感じられる人の気配。静謐な空間の断片がさざ波のように折り重なりながら、次第にある核心部へと迫っていく。ローカリティと巨大資本、過去/現代の戦争、イデオロギーの綻び……。その「家」に暮らす若い夫婦と、南ベトナム系コミュニティの姿を通じて生起する、アンビバレントな現代アメリカの諸相。

    2023年/45分/日本

監督のことば

ベトナム系難民である配偶者とアメリカ社会で暮らす妹から、断片的にうかがっていた住居のことや家主であるお寺のことに、ずっと興味を抱いていた。私もその家の「住人」となるまでは、西海岸に最大のベトナム系コミュニティがあることも、いまだに彼らの多くが強い反共の精神を有し、旧南ベトナムを共通の拠り所としつつも複雑な現実と折り合いをつけて生きていることも、知るべくもなかった。本作はあくまで「家」と「時間」についての映画だが、より大きな世界の曖昧な枠組をも顕ち上げられたらと願う。

監督プロフィール

  • 山崎春蘭
  • 山崎春蘭

    1991年生。千葉県在住。イメージフォーラム映像研究所修了。短編に「Four Sites」('22)。2021年頃より、風景や場所をテーマとして映像作品を制作している。