東京ドキュメンタリー映画祭2022
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > カメラがたどる記憶

上映作品

短編カメラがたどる記憶 上映時間104分

12月12日(火)14:15 / 12月22日(金)9:40

かつて世話になった人々に、自らの「これまで」と「本当の私」をカミングアウトする男性の旅に密着した『カミングアウトジャーニー』。奈良県斑鳩で20年間、共に暮らした人々との交流を、僧侶でもある監督がみつめた『肩を寄せあって』。変わるものも、変わらぬものもある時の流れと、そこに在ったかつての「自分」をみつめた2本。

◎舞台挨拶
▶︎12/12(火)14:15の回 上映後
 登壇:山後勝英監督、横田丈実監督
▶︎12/22(金)9:40の回 上映後
 登壇:横田丈実監督

  • カミングアウトジャーニー
    カミングアウトジャーニー
  • 作品1

    カミングアウトジャーニー 上映時間52分

    ひとりのゲイ男性が2022年夏、友人、職場、家族へカミングアウトする旅に出た。東京・中野の劇場からはじまり、神奈川・川崎から広島へ。自分のセクシャリティ・HIV・依存症のことをありのままに語る旅はどこに辿り着くのか。「生きることに不安だった、自分に嘘をつき続けてきた」と語る彼の本意とは何か。本音が言えずに、人生につまづき、社会から追いやられ、いま困難に直面する人と支援する人に観てほしい”カミングアウトされる側”のREAL。
    ⓒDaisukeFukusho2022

    2022年/52分/日本

監督のことば

「僕のカミングアウトを撮ってほしい」ある日突然来た福正大輔からのメッセージがすべてのはじまりでした。カミングアウトは親しい人にだけ自分の秘密(素性)を明かす、とてもプライベートなものであり、赤の他人に見せるものではそもそもありません。なにをバカなことを。この企画はすぐ頓挫するだろうと思いました。その一方で、カミングアウトする姿をひとつの例として公開すれば、カミングアウトしたいけれどもどうすればいいか悩んでいる人、カミングアウトされたはいいけど、どう受け止めればいいのか困っている人たちの手助けになるなとも考えました。お互いに気心をそこそこ知っていて、同じゲイ。なかなかこの条件に合致する人はいません。だからこそ、彼は私にカメラを回してもらいたかったのでしょう。そんなこんなで、彼のカミングアウトの旅を追いかけることに。映画を観てもらえばわかりますが、彼の告白はセクシュアリティの公表に留まりません。ひとりでも多くの人に観てもらい、誰かの一助となれたらと願っております。

監督プロフィール

  • 山後勝英
  • 山後勝英

    1975年1月10日生まれ。東京都出身。
    10代。中高で8mmビデオ、大学で8mmフィルムを制作。作品多数。
    20代。制作会社でプロデューサー/ディレクターとして多数のテレビ番組を手掛ける。
    30代。セクシュアリティを公表。
    40代。ショートフィルムを制作開始。海外での受賞歴多数。

  • 作品2

    肩を寄せあって 上映時間52分


    🏆短編部門コンペティション 準グランプリ

    1999年早春に奈良県の小さな村で映画上映会が催された。丸太で組まれたテント会場。観客として集まったのは近くで暮らす村人たち。田んぼ仕事や旅行にと仲良き20人だった。 「肩を寄せあって」は上映会から20年が経った村の記録。 村人たちのその後を紡ぐ。亡くなられた人や元気な人。大切な思い出が交錯する。横田監督の父もまた観客のひとりだった。昭和6年生まれ。戦後を逞しく生きた人生。しかし撮影時は肺を患って入院中。最期のときを迎えようとしていた。

    2023年/52分/日本

監督のことば

作品のキーワードとなるのは映画上映会後に撮られた記念写真です。皆さん肩を寄せあっておられます。「共生(きょうせい)」という言葉があります。人が共に生きること。持ちつ持たれつなんて表現したりもします。尊き教えです。一方で、これは宗教学者の山折哲雄先生が話されていたのですが、人は「共死(きょうし)」でもあるんです。共にいつかは亡くなってゆく存在。「肩を寄せあって」のタイトルにはそんなふたつの「共に」を込めました。

監督プロフィール

  • 横田丈実
  • 横田丈実

    1966年に奈良県斑鳩町にある仏教寺院「浄念寺」に生まれる。龍谷大学在学中より映画制作を始める。「蝸牛庵の夜」が「PFFアワード1992」に入選。それ以降も地元斑鳩にて僧侶として映画制作を続ける。「FISHBOX 魚箱」(1999年)「あかりの里」(2006年)「遺影、夏空に近く」(2017年)など17本の作品を発表。作風は多岐に渡る。
    (撮影:横山健二、音楽:島田篤)