東京ドキュメンタリー映画祭2022
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > “先の戦争”の現在地

上映作品

短編“先の戦争”の現在地 上映時間87分

12月3日(火)18:50 / 12月9日(月)10:00

戦後79年、当事者が次々と亡くなるなか、太平洋戦争は今どう記録されるのか。戦死した祖父が祖母に寄せた強烈なラブレター。一昨年逝去した詩人・鈴木志郎康さんが故郷・亀戸で遺した言葉。物語らぬ遺骨の収集に集う人々から浮かび上がる沖縄戦。鹿児島の離島、黒島に伝わる特攻兵の記憶を継承する若者たち。四者四様の記録。

  • 23通のありふれたラブレター
    23通のありふれたラブレター
  • 作品1

    23通のありふれたラブレター 上映時間13分

    ある女性が唯一残していた、恋人との思い出。
    それは、結婚式の前日まで届いた23通のラブレター。
    語らなかった真実と、語られた少しの事実。
    世界の片隅に2人が存在したことの記録と記憶。

    2023年/13分/日本

監督のことば

その手紙を読んだ時、モノクロームの世界にぱっと色彩が溢れたような感覚にとらわれました。その感覚を共有したい。時代を超えても変わらない恋人たちの思い、を形として残したいと願い作りました。

監督プロフィール

  • 仲村淳
  • 仲村淳

    日大芸術学部卒。映像ディレクター・演出家としてフリーで活動。 フジテレビ「ザ・ノンフィクション」 BSフジドキュメンタリー、BS日テレ紀行ドキュメンタリーほかを演出。短編ドキュメンタリー『LIFE GOES ON』が、2022横濱インディペンデントフィルムフェスティバル優秀作品に選出

  • 作品2

    志郎康さんの印象 上映時間18分

    現代詩人で個人映画作家の鈴木志郎康さん、享年87歳。1945年3月10日、10歳だった鈴木少年は東京大空襲で亀戸の生家を焼き出される。空襲から69年後の冬、当時の記憶を辿りながら、焼夷弾から逃げ延びた道を共に歩いた。詩人として「極私」という言葉を生み出し、ラディカルな表現論を掲げて、社会に攻勢的な作品を投げかけ続けた志郎康さん。その表現活動の源流を探る、言葉をつぐむ旅日記。

    2024年/18分/日本

監督のことば

鈴木志郎康さんは、私が通っていた多摩美術大学での恩師です。本作は、志郎康さんがご逝去された2022年、多摩美術大学での追悼イベント「極私祭」にて初回発表されました。ですので、この映像は私にとって志郎康先生への追悼文ともいえるものです。本タイトルは、志郎康先生の代表的な個人映画『日没の印象』から引用させて頂きました。志郎康先生は、表現者が言葉やカメラを持つことの意味合いを教えてくださいました。

監督プロフィール

  • 小沢和史
  • 小沢和史

    1974年生まれ、映画作家・番組ディレクター。多摩美術大学にて鈴木志郎康氏から映画表現を学び、PFF やIFFで入賞、水戸短編映像祭で準グランプリ受賞。以後、小川国夫原作オムニバス映画(2010年)、東京大空襲フィールドワーク映像(2014/16年)、遠藤ミチロウ氏との共同監督映画『SHIDAMYOJIN』(2017年公開)などの作品を手がけてきた。

  • 作品3

    沖縄 戦没者遺骨収容 旧海軍司令部壕 上映時間18分

    沖縄県豊見城市にある戦跡の一つ、旧海軍司令部壕。ここで戦没者の遺骨収容が行われました。参加者は全員ボランティア。遺族、学生、在沖アメリカ兵ら様々な人たちが大量の土砂を協力して調査。その結果多くの遺骨が見つかり、遺留品が遺族のもとに帰りました。約1年間の活動記録です。

    2024年/18分/日本

監督のことば

未収容の日本人海外戦没者(沖縄・硫黄島含む)は112万人以上。国の事業は全く進まず、国民の関心もありません。この事業を終えようとする政治家の発言もあり、終息に向かっているようです。しかし今も遺骨や遺留品が見つかります。それは海外だけではなく、国内の沖縄でも。戦没者遺骨調査団体のスタッフとして活動に携わりながら、等身大の活動を伝えるためにカメラを回しました。

監督プロフィール

  • 宮ゆふき
  • 宮ゆふき

    大学卒業後ビデオジャーナリストカレッジで学び、日本映像通信に所属。2014年、戦没者遺骨の調査を行う特定非営利活動法人空援隊にスタッフとして加わり、遺骨収容の作品を中心に制作。『77年ぶりに見つかった米兵のドッグタグと遺族の訪問、そして―』(2022)が沖縄NICE映画祭1(2023)においてNICE沖縄賞受賞。

  • 作品4

    あしたよなあ−不時着した特攻隊員− 上映時間38分

    太平洋戦争末期、特攻隊員は鹿児島県の黒島を目印に沖縄に向かっていった。黒島には6人の特攻隊員が不時着し、島民たちは彼らのお世話を献身的に行った。製作者の大学OBがこの事実に関係していることを知り、調査を開始した。その一環として、黒島で毎年開催される慰霊祭に参加した。そこで、黒島で起こった出来事を演劇で語りつなぐ高校生たちと出会った。本作品、特攻の現実とその記憶を後世に語りつなぐ高校生たちの思いに迫った、過去と未来を結ぶドキュメンタリーである。

    2023年/38分/日本

監督のことば

あしたよなあ。この言葉は黒島の方言で、明日会いましょうという意味です。明るい響きがある、素敵な言葉だと思います。しかし、沖縄に向かって飛んでいった特攻隊員にとって今日はあっても明日はありません。いつまでも本当の意味で、あしたよなあと交わすことができる、平和な世界が続いてほしい。そのような願いと戦争の記憶を語りつないでいく意思を本作品のタイトルに込めました。

監督プロフィール

  • 田畑美徳
  • 田畑美徳

    2002年生まれ、神奈川県出身。中央大学国際情報学部国際情報学科4年。松野良一ゼミに所属し、ドキュメンタリー制作を学ぶ。本作品が初めての制作活動となった

  • 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
  • 芸術文化振興基金助成事業
  • エトノスシネマ