東京ドキュメンタリー映画祭2022
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > コミュニティと言語

上映作品

短編コミュニティと言語 上映時間83分

12月8日(月)12:20/12月16日(火)14:10

認知症が進み、母語での介護を余儀なくされる在日韓国人高齢者に寄り添う『Blessing Lies Here』。かつてマンモス団地と呼ばれた古い団地に暮らす高齢者と新たな住民との交わりを描く『憧れの暮らし、常盤平団地』。母語の喪失に直面する外国籍住民のケアにフォーカスする『はざま』。多様化する在留外国人コミュニティや、共生のありようを最前線でみつめた3本。

  • Blessing Lies Here
    Blessing Lies Here
  • 作品1

    Blessing Lies Here 上映時間11分

    日本最大級のコリアンタウン、東京・新大久保。約半世紀前に来日し、働き詰めで日本語を習得する時間もなかった韓国人のオモニたちが、いつの間にか高齢化し、日本で孤独な老後を迎えている。外国籍の高齢者が、社会と繋がり、安心して老後を生きていくために奔走する韓国人女性の姿を通して、“生きやすい社会”へ変わるための希望を描く。

    ◎舞台挨拶

    2025年/11分/日本

監督のことば

オモニの歌声を初めて聴いたとき、その深くあたたかい声に、彼女が異国で歩んできた人生が滲み出ているように感じました。そして歌を通して『あなたもここにいていいんだよ』と私自身が優しく包まれている気持ちになりました。故郷を離れ、言葉の通じない異国で生きる大変さを知る一方、お互いの存在を認め合うことで、国籍や言語の壁を越えてつながり合えることもあると学んだ瞬間でした。寛容で優しい社会を心から願っています。

監督プロフィール

  • 倉田清香
  • 倉田清香

    2015年、映像制作会社ドキュメンタリージャパンに入社。2019年以降、NHK BS1にて、多国籍の人々が共に暮らす新大久保の街を見つめるシリーズ番組を制作。移民をテーマとした映像制作を行っている。

  • 作品2

    憧れの暮らし、常盤平団地 上映時間32分

    千葉県松戸市にある常盤平団地は、全盛期から見れば高齢化が急速に進む地域である。常盤平団地は1950年代の全国的な団地建設時代に誕生したマンモス団地で、多くの人々のを惹きつけた。今、当時から団地に住む人々が次第に姿を消していく時代に入っている。全国の団地で建て替えや取り壊しが行われる中、団地はそこに住む人々にとってどのような場所なのだろうか。常盤平団地を訪れ私が見た景色をドキュメンタリーとした。

    2025年/32分/日本

監督のことば

日本で少子高齢化が指摘されるようになってから久しいですが、同時に高齢者が中心となって活発に活動しているコミュニティが増えてきていると感じています。常盤平団地は日本の現代社会の縮図のように感じられ、日本の将来を予感させられました。制作において、常盤平団地の住民の皆様のご協力に心より感謝申し上げます。今後も、この団地のコミュニティが温かく、誰にとっても居心地の良い場所であり続けることを願っています。

監督プロフィール

  • 加藤温
  • 加藤温

    福島県出身。日本大学芸術学部映画学科在学中。ドキュメンタリーを専門に研究し、制作を続けている

  • 作品3

    はざま -母語のための場をさがして- 上映時間39分

    「日本における移民の子どもの母語についてのドキュメンタリー。」この言葉を聞いても、多くのみなさまは、うまくイメージができないかもしれない。
    本作は、年々増加し続け、いまや約341万人の外国籍住民が暮らす日本で、特に移民の子どもたちが直面する「母語をどう維持するか」という課題をテーマにしています。手弁当で運営される母語教室運営者へのインタビューや、来日時期の異なる兄弟をもつ家族へのインタビューはもちろん、子どもたちにとって重要な「在留資格」の問題も取り上げる。
    本作は、移民の子どもたちの「母語」をいかに保障できるかを探りながら、外国籍住民をめぐる日本社会のこれまでとこれからの在り方を照射する作品である。

    2024年/39分/日本

監督のことば

日常使用言語は日本語、母語は朝鮮・韓国語。在日コリアンとして生を受けた私にとって、それは当たり前のことでした。いわゆる「バイリンガル」として成長するなかで、日本という国が「モノリンガル」的社会であることに気付いたのは随分と時間が経ってからでした。そこから数十年という時が過ぎ、日本は今「移民国家」になろうとしています。日本にやってくる外国ルーツの人々の母語は誰が保証するのでしょうか。彼らを受け入れる日本はここ数十年でどう変わってきたのでしょうか。あちらとこちらを往来し続ける私の視点によるこの映画を通じて、みなさんと一緒に考えてみたいです。

監督プロフィール

  • 朴基浩(パク・キホ)
  • 朴基浩(パク・キホ)

    ドキュメンタリー映像作家。立命館アジア太平洋大学(APU)卒業後、若者支援のためのNPO法人を設立。同法人の共同代表を退任後、映像制作を始める。2020年に「女性の生理」 を捉えたドキュメンタリー作品で映画祭入選。ローカルコーディネーターとしてBBCやAl Jazeeraなどの番組制作にも参画している。

  • エトノスシネマ