東京ドキュメンタリー映画祭2022
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > 人類学・民俗映像A

上映作品

人類学・民俗映像人類学・民俗映像A 上映時間108分

12月7日(日)10:00/12月17日(水)11:50

カーボヴェルデ北西部のサンヴィセンテ島。カルロスはアルコールと薬物依存に翻弄されながら日々を生きている。その歩みの背後に絶えず響いているのが、カーボヴェルデに深く根ざした感情「ソダーデ」である。単なる郷愁を超え、奴隷制の時代から音楽を通して受け継がれてきたソダーデは、いまも人びとの記憶に息づいている。カルロスの声と記憶、そして音の風景をとらえることで、この民族誌映画はソダーデの一端を映し出す──それは個人の悲しみであると同時に、歴史が響かせる共鳴でもある。

  • カルロスのレシピ
    カルロスのレシピ
  • カルロスのレシピ 上映時間108分

    カーボヴェルデ北西部のサンヴィセンテ島。カルロスはアルコールと薬物依存に翻弄されながら日々を生きている。その歩みの背後に絶えず響いているのが、カーボヴェルデに深く根ざした感情「ソダーデ」である。単なる郷愁を超え、奴隷制の時代から音楽を通して受け継がれてきたソダーデは、いまも人びとの記憶に息づいている。カルロスの声と記憶、そして音の風景をとらえることで、この民族誌映画はソダーデの一端を映し出す──それは個人の悲しみであると同時に、歴史が響かせる共鳴でもある。

    2025年/108分/カーボヴェルデ・日本

監督のことば

この映画は、2013年、カーボヴェルデ北西部のサンヴィセンテ島でカルロスという一人の人物と出会ったことから始まりました。主人公である彼と過ごす歳月のなかで、作品は少しずつ立ち現れてきました。その背景に深く関わっているのが、カーボヴェルデで「ソダーデ」と呼ばれる言葉です。それは単なる郷愁ではなく、遠く隔てられた関係のなかで芽生え、人と人を結びつける働きをもつものです。カルロスを撮ることは、この言葉を定義することではなく、彼の声や表情、沈黙やまなざしに流れるリズムを受けとめることでした。この映画は、カルロスと、映像制作のプロセスを共にした長良将史、そして私自身とのあいだで紡がれてきたものです。ソダーデの響きは、カーボヴェルデに限らず、もしかすると誰もの心の奥に潜んでいる感情なのかもしれません。

監督プロフィール

  • 青木敬、長良将史
  • 青木敬、長良将史

    青木敬(Kay Aoki)
    大阪を拠点とする文化人類学者。関西大学准教授。2012年から西アフリカ沖の島国カーボヴェルデで、クレオール文化、ディアスポラと島に生きる人びとの記憶、音楽と感情の響きを探究してきた。“Rhythms of Sodade”(邦題:〈カルロスのレシピ〉)は最初の映像作品である。

    長良将史(Masashi Nagara)
    映像作家・舞台構成。大阪出身、大分県竹田市在住。広告や『VOGUE』でのコンテンツ制作からアート領域まで幅広く携わり、舞台・美術・人類学を横断する作品を制作している。デンマークでの舞台制作に参加し、「完成を目指さない」という創作観に衝撃を受け、以降はヒエラルキーを排した“共創=Co-Creation”を実践。京都・竹田でのフィールドワークを基盤にした《FEAR》《OCTOPUS STORY》では、「恐怖」や「自己と他者の溶解」をテーマに、ダンス・音楽・映像・舞台美術を重層的に交錯させた。常に「誰が作ったか分からない作品」「自由な時間の記録」を目指し、個と共同体、虚構と現実の狭間に立ち上がるイメージを探求している。

  • エトノスシネマ