上映作品
人類学・民俗映像人類学・民俗映像C 上映時間75分
12月11日(木)11:55/12月17日(水)10:00
タイ北部の少数山岳民族・モン族のシャーマン、ジーネーンが日常生活と憑依を行き来するさまを、マルチカメラとモノローグで省察する『アット・ザ・ドアウェイ』。『ムル族の犠牲祭』は、バングラディシュ・チッタゴン近郊の丘陵地に暮らすムル族の儀式にカメラが密着。村の暮らしと牛を神に捧げる様子がよくわかる好編。
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作品1
アット・ザ・ドアウェイ 上映時間15分
タイ北部で先祖、精霊、生者の精神的支柱であり、仲介者でもあるシャーマン「ジーネーン」として働くモン族の女性たち。彼女たちは、祖母、母と霊媒者、という相反する役割を絶えず行き来している。ナレーションにモン族系アメリカ人作家、カオ・カリア・ヤンを起用し、文学、シネマ・ヴェリテ、マルチ画面、トランスダイジェティックな音楽、皮膚電気反応の描写などを駆使して、彼女たちの多様な側面を探求した実験的な民族誌映画。
2025年/15分/タイ・アメリカ
監督のことば
『アット・ザ・ドアウェイ』は、5人の共同監督による共同制作映画です。タイ北部の女性シャーマンが執り行う儀式の様子を実際に撮影した作品です。それぞれの儀式において、参加者のガルバニック皮膚反応や心拍数といった、生体医学的な反応を記録しました。
監督プロフィール

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エマ・ヴォルツ、ソフィー・ヴィタカー、サラ・ソワード・テイラー、ケイト・マッケラー、スコット・クリストファーソン
エマ・ヴォルツ
アリゾナ州メサ出身のドキュメンタリー映画監督。共同体における家族の努力を探求。ソフィー・ヴィタカー
英国拠点の映画監督。視覚的なストーリーテリングが人々を結びつける方法に魅了されている。サラ・ソワーズ・テイラー
医学生。社会文化人類学及びモン族の心身の健康と信仰の関係に興味を持っている。ケイト・マッケラー
ドキュメンタリー作家。日常の中にある非凡さを見出すことに焦点を当てている。スコット・クリストファーソン
ドキュメンタリーの大学教員。「Peace Officer」(15,日本未公開)は映画祭で審査員長賞を受賞。
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作品2
ムル族の犠牲祭 上映時間60分
バングラデシュ、チッタゴンの丘陵地帯に住む先住民ムル族。伝統楽器の竹笛「プラン」を作る職人マンレは、大きな試練に直面していた。彼の幼い子供が病気にかかっており、ムル族の伝統では、神々だけが、「チアソドポイ」という儀式を通して、健康を回復させることができるとされている。やがて村では彼のために牛を捧げる犠牲祭が始まり、マンレの友人である監督は、その一部始終を記録することとなる。
2025年/60分/バングラディシュ
監督のことば
2023年1月、私は初めてバングラデシュのチッタゴン丘陵地帯を訪れ、「プラン」と呼ばれる土着の竹笛に出会いました。ムル族の伝統楽器であるこの楽器は、荘厳で、ほとんどシュールとも言える音色を持っています。ムル族の友人たちと、暗闇の中を6時間かけて旅をし、保護林に到着しました。そこでは、ムル族の人々が生贄の祭り「チアソドポイ」を催していました。その後、一晩中プランを使ったシュールなオーケストラの合奏が繰り広げられ、朝には牛が生贄に捧げられるというクライマックスを迎えました。
当時、私はこの伝統のルーツについてほとんど理解していませんでした。しかし、私が目にしたものは、これまで見たことのないものでした。まるで子供のような好奇心から、私たちは映画「ムルチャ・チアソドポイ(ムル族の犠牲祭)」の始まりとなる撮影を始めました。当時は他に何も持っていなかったため、スマートフォンで撮影を始めました。電気が通っていない場所では、携帯電話の充電は太陽光発電でしかできませんでした。
この祭りのモバイル版を編集する中で、私はこの生贄の儀式的、そして精神的な複雑さに気づきました。数ヶ月後、マンレが我が子のために生贄を捧げなければならないという電話を受け、私は儀式の過程を詳細に記録し始めました。この儀式を記録することの歴史的、民族誌的な重要性を念頭に置き、撮影を始めました。その多くは先住民族のムル語で行われました。最終的に、この映画を完成させるまでに2年かかりました。
監督プロフィール

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マシュルクル・ラーマン・カーン
2002年生まれ バングラディッシュ・ダッカ在住のインディペンデント・ドキュメンタリー作家。







