東京ドキュメンタリー映画祭2022

上映作品

特集台湾記録片A 上映時間80分

12月19日(金)10:00

東京ドキュメンタリー映画祭はこれまで、人類学・民俗映像部門コンペティションを除いて、日本国内の制作者による作品を中心に紹介してきましたが、今年初めての試みとして、幅広い記録映画の文化と伝統を持つ台湾の作品を紹介することになりました。台湾と日本の歴史的な関係を描いた作品や、日本では公開の機会が限られている作品をセレクションし、上映します。

  • 夢の中の故郷
    夢の中の故郷
  • 夢の中の故郷 上映時間80分

    古びた母校の廊下で、台南女子高の卒業生たちが再会する。日本語、台湾語、中国語を織り交ぜながら、鮮烈な記憶を語り合い、忘れられた歴史の一章を組み上げていく。戦後台湾における女性の教育、自己認識、社会変革のさなかの痛ましい姿が浮かび上がる。ベテランの映画監督・教育者である吳宏翔が、歴史学者の陳梅卿とともに取り組んだ台南の歴史証言シリーズの一編。日本統治時代に青春を過ごした女性たちのオーラルヒストリー。
    原題:夢中的故鄉(Dreaming of Home)

    2017年/80分/台湾

監督のことば

『夢の中の故郷』は、日本統治時代と戦後台湾を繋ぐ架け橋として生きてきた、消えゆく世代の記録です。80代、90代の女性たちの声を通して、激動の時代における若さ、静寂、そして立ち直る力強さの記憶を辿ります。監督として、私はためらいながらこの旅を始めましたが、彼女たちの笑い、尊厳、そして静かな強さに深く心を打たれました。長年の撮影を通して、ドキュメンタリー作品とは距離や観察だけではない、敬意、共感、そして記憶が薄れてしまう前に証言することだと学びました。この映画は、変化を優雅に、そして勇気を持って生き抜いた人々への別れであり、そして賛辞でもあります。

監督プロフィール

  • 吳宏翔(ウー・ホンシャン)
  • 吳宏翔(ウー・ホンシャン)

    台湾を拠点にフィクションからドキュメンタリーまで幅広い作品を手がける映画監督。長年にわたって映画美学と現実の物語の交差点を探求してきた。記憶、アイデンティティ、日常生活における静かな回復力に焦点を当てながら、消えゆく世代を記録しつづけている。教育者としても、多くの学生にビジュアルストーリーテリングを指導している。

  • エトノスシネマ