上映作品
短編命をみつめる 上映時間81分
12月3日(火)12:40 / 12月10日(火)16:00
“シニア女子”たちが自身にとって最高の写真を遺すイベントに迫った『郵便局写真館』。大学生の監督が、認知症が進行する自身の祖母と「ちょっと変わった」介護を続ける家族にカメラを向けた『今日は、認知症』。東日本大震災で300人以上の遺体を復元した女性を追った『おもかげ復元師』。目の前の命に、優しくも力強く対峙した3作。
◎舞台挨拶
▶︎12/3(火)12:40の回 上映後
▶︎12/10(火)16:00の回 上映後
登壇:水元泰嗣監督
-
作品1
郵便局写真館 The Last Photo 上映時間10分
週末、70歳以上の“シニア女子”が訪れる横浜の小さな郵便局。 そこは知る人ぞ知る、1日限定のイベント写真館だ。歳を重ねて化粧することもなくなった彼女たちが、モデル気分を味わい、次第に笑顔になっていく。そして、いまの彼女たちにとって最高の写真を遺す…。市井のおばあちゃんたちの「或る日」と「人生」を記録したハートフル・ドキュメンタリー。
©TOKYO VIDEO CENTER2022年/10分/日本
監督のことば
「おばあちゃんってなんてかわいいのだろう!彼女たちの笑顔を撮りたい!」初めて郵便局写真館を知った時の、この衝動から始まった作品。マジックミラーを使用して、メイクで変化していく彼女たちの自然な表情を捉えました。鏡越しの自分と向き合う時間。女性たちの口からぽろりぽろりと溢れてくるのは、彼女たちの人生の話です。戦後を生きてきたおばあちゃんたちの芯の強さが伺える、最高の笑顔の一枚を見届けてください。
監督プロフィール
-
栂坂和音
新潟県生まれ。東京外国語大学卒業後、映像制作会社東京ビデオセンターに参加。情報番組の制作などに携わる。本作が、ドキュメンタリー作品の監督デビュー作。
-
-
作品2
今日は、認知症 上映時間20分
高齢者の8人に1人が認知症になる日本。監督である椋木りあんの祖母、椋木千代子(91)も数年前から急激に認知症が進み、じわじわと自分のことも認識できなくなっていた。それでも私の父は、天気やその日の体調にも左右される、認知症が生み出す逆境を楽しみながら過ごしている。ちょっと変わった介護を続ける、認知症患者を囲む家族たちの一コマ。
2024年/20分/日本
監督のことば
介護疲れや老々介護など、介護を取り囲む社会問題が多くある世の中で、ふと私は父が介護をしていても楽しそうにしている様子に気が付きました。認知症患者も一人の人間としての尊厳があり、たとえ親子であっても介護をする側との距離感はさまざま。介護の最適解は環境や人によって変化するからこそ、本作品を通して、少しでも介護の在り方について考えるきっかけになればうれしいです。
監督プロフィール
-
椋木りあん
2004年生まれ、東京都出身。上智大学文学部新聞学科3年生。水島宏明ゼミに所属しドキュメンタリー制作を学ぶ。本作以外には、明治神宮外苑再開発問題がテーマの『その声に耳を傾けて』(「地方の時代」映像祭奨励賞)、東日本大震災後の石巻の新聞社の奮闘を描いた『けっぱれ!~壁新聞のその先で~』などがある。
-
-
作品3
おもかげ復元師 〜続いていくいのちの側で〜 上映時間51分
東日本大震災で300人以上の遺体をボランティアで復元し、その時の思いを絵日記に描き留めていた笹原留似子。母が尼さんで、祖先が山伏の家系に育った彼女が培ってきた死者への眼差しは、死を単なる不幸とだけ捉えてしまいがちな現代の死生観を大きく揺さぶる。東北地方の自然と文化が育む「死」と「生」の循環の中で、“おもかげ復元師”は今日も遺族に寄り添い死者を見送る。
2024年/51分/日本
監督のことば
取材を通して、災害時に遺体安置所で働く方々のご苦労と、使命を全うしようとする熱意に圧倒されました。笹原さんの死者への眼差しは、これからも様々な災害と付き合っていかねばならない私たちに多くの示唆を与えてくれると思います。
映画をご覧いただいた方々に、大切な人を思い出す瞬間が訪れることを願っております。
監督プロフィール
-
水元泰嗣
数多くの映画作品で助監督を努め、2011年に短編映画「星★に願いを」(知多半島映画祭準グランプリ)を監督。映画のメイキングやドラマの演出を手がけつつ、2014年には震災復興ドキュメンタリー『灯り続けた街の灯り みちのくの医師の信念』を監督。本作「おもかげ復元師」では映文連アワード2024で文部科学大臣賞を受賞。