上映作品
短編家と故郷 上映時間107分
12月3日(火)14:35 / 12月12日(木)15:45
安らぎの場所にも重圧にもなり得る家や故郷を考察する3本。家族の愛や抑圧を、母や祖母の言動やホームビデオで表現した『家』。『うどを植える』は、壊される運命にある実家の記録を、父の記憶や写真と併せ試みる。『広島生まれ』は、3歳まで広島で育った中国人監督が、父親の慕う居酒屋一家の歴史から、故郷のイメージを掴んでゆく。
◎舞台挨拶
▶︎12/3(火)14:35の回 上映後
登壇:阿部修一郎監督、柴波監督
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作品1
家 上映時間14分
代々女を産むことで命を繋げてきた私の家族。違和感を感じながら成長した私もまた娘を産み、この家族を継承した。世代を超えて繰り返される愛情と抑圧。母とは、娘とは、何か。そんな中見つけたのは、母が当時2歳の私にあてて書いた古い手紙だった。膨大に残るホームビデオを用いて描く。
2024年/14分/日本
監督のことば
母が書いた実際の⼿紙を元に制作しました。祖母・母・私・娘の4世代が出演し、ナレーションも母と娘がつとめています。エンドクレジットには、この家に生まれた全ての女性が出演者であり、それは今後も変わらない…という意味を込めました。また、作中に出てくる彼岸花は、日本に伝わった品種は本当に種子が作れず、人の手で株分けして増やしたそうです。日本の彼岸花は全部同じ花だと思うと、見える景色も少し変わる気がします。
監督プロフィール
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池端規恵子
1983年生まれ。日本大学芸術学部映画学科を卒業後、制作会社にてドキュメンタリー番組等を演出。仕事と子育ての傍ら、個人で映像作品を作り続けて18年目。近年は母とのコラボレーションが多い。東京映像旅団メンバー。『21日を見つけに』(2017)、『娘のための裁縫箱』(2020)など。
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作品2
うどを植える 上映時間33分
春、庭にうどが植えられた。その行為はおそらく、社会の大きな物語に影響を与えない。しかしそれは、我が家の景観や土壌の栄養の配分に、ささやかな変化をもたらす出来事だった。 夏、私は父に幾つか家の過去について質問をした。答えのほとんどは「分からない」「覚えていない」だった。多くの出来事の記憶は、既に消えている。既になくなってしまったものたちを、どうすれば残せるだろうか?本作は失われゆく住居を記録するための映画である。
2024年/33分/日本
監督のことば
記憶は不意に失われる。だが、ある出来事のなかで立ち現れた情動や感覚は、身体のどこかに残存しているのではないかと思う。かつて在ったはずの何かを、喚起するための映画。そうしたものを、つくりたいと思う。
監督プロフィール
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阿部修一郎
1996年、青森県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程在学中。場所に堆積した記憶や、場所に居る身体感覚を記録するための映画を制作している。
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作品3
広島生まれ 上映時間60分
広島で「金太郎」という居酒屋を経営しているおじいさんがいる。彼は十数人の大家族と一緒に働いており、人々には歴史が深く根を下ろし、今日まで続いている。彼らの話を聞くうちに少しずつ明らかになってゆく、広島での過去の暮らしの記憶。監督はその作業を続けながら、3歳まで過ごし、記憶はないが生まれ故郷である広島との縁を、このドキュメンタリーの中で探していく。「私はどこから来たのか」という疑問を抱きながら。
2021年/60分/日本
監督のことば
生まれてから今まで、私は「金太郎」一家から多くの恩恵を受けてきた。私の人生には心温まる瞬間がたくさんあり、その温かさを皆さんと分かち合いたい。「広島」と大家族の直接の交流を通じて、その温かさの裏にある強さを感じるようになった。この強さと温かさは国境を越えたものだと思う。生まれたことは偶然かもしれないが、この友情が長く続く必然であってほしいと願っている。
監督プロフィール
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サイ・ナミ(柴波)
広島県生まれ。3歳まで広島で育ったのちに家族で北京に移住。2013年、北京電影学院映画脚本専攻卒業。2017年、日本大学大学院芸術研究科映画制作専攻に入学、2019 年に修了。現在は北京大学芸術学院博士後期課程在籍中。