東京ドキュメンタリー映画祭2022
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > インド悲喜こもごも

上映作品

人類学インド悲喜こもごも 上映時間96分

12月5日(木)16:30 / 12月11日(木)10:00

パワーあふれるインド社会の機微を描く2作品。『タイガー・ダンス』は、バンガロール近郊で行われる華やかで躍動感あふれるタイガー・ダンスのパフォーマンスを紹介する。『インディアン・ラブストーリー』は、ある青年が結婚に至るまでに経験した困難を通じて、規範やカースト制の強固さをうかがわせる。

  • タイガー・ダンス
    タイガー・ダンス
  • 作品1

    タイガー・ダンス 上映時間36分

    ピリヴェーシャ(虎舞)は、主にインド・カルナタカ州ウドゥピ県のクリシュナ・ジャンマスタミとダスクシナ・カンナダ県のナヴァラートリの時期に行われる、パフォーマンスに基づく民俗伝統行事である。長年にわたり、ピリヴェーシャはこの地域の文化的目印の代名詞となっている。「タッセ」と呼ばれる太鼓やシンバル、その他の打楽器で演奏される伝統音楽のビートに合わせて踊るダンサーたちは、虎のように跳ね回りながら、大きなエネルギーと熱意をもってパフォーマンスする。伝統、儀式、娯楽がミックスされた不思議なパフォーマンスは、カーストや宗教的な複雑さが渦巻く地域社会を束ねる力として機能している。このドキュメンタリーは、この地域のコミュニティーの人々にとっての民俗伝統の意義を検証した作品である。

    2023年/36分/インド/原題:Pilivesha of Tulunadu

監督のことば

消費主義に支配され、ますますグローバル化する世界において、持続可能な地域生活に根ざしたローカルな知識システムの重要性は依然として変わらない。このドキュメンタリーは、インドのカルナータカ州沿岸部で行われているダイナミックな民族舞踊、ピリヴェーシャに焦点を当て、伝統が変化を吸収しながら生き続ける複雑な方法を検証する。この芸術形式を通し、伝統と現代生活の接点を探り、コミュニティのアイデンティティを支える活気ある多様性を垣間見ることができる。ピリヴェーシャは、民俗習慣、社会的価値観、日常生活のリズムの間にある深いつながりを示すレンズの役割を果たし、インド南岸のトゥルナドゥ地方の文化遺産の豊かさを明らかにするものである。

監督プロフィール

  • プラヴィーン・K・シェッティ、ニテシュ・アンチャン
  • プラヴィーン・K・シェッティ、ニテシュ・アンチャン

    プラヴィーン・K・シェッティ / Praveen K Shetty(左)
    インドのマニパル高等教育アカデミーMAHEの異文化研究、対話センターのコーディネーター。博士号は異文化コミュニケーションと多文化主義の分野。MAHEの異文化研究・対話センター(CISD)のコーディネーターでもある。同センターでは、「Discerning India」というプロジェクトやトゥルナドゥの生きた文化に取り組んでいる。

    ニテシュ・アンチャン / Nitesh Anchan(右)
    異文化研究・対話センター研究員。哲学の修士号を持ち、文化伝統の研究者でもある「Discerning India- Living Cultures of Tulunadu」プロジェクトに参加。

  • 作品2

    インディアン・ラブストーリー 上映時間60分

    [愛と女神とインドのカースト制度についての人類学的ドキュメンタリー]
    クルディープは恋をしているが、結婚相手の女性は自分より格上のカーストの出身だ。彼が女神カーリーにいくら祈っても、少女の父親はなかなか納得しない。このような「ロミオとジュリエット」のプロットは、ボリウッド映画の世界ではよくあることだ。人類学的ドキュメンタリー『インディアン・ラブストーリー』では、カースト制度が禁止されているにもかかわらず、それでもなお厳格で母親と父親に従うことが普遍的な規範となっている現実世界の現代インドにおいて、このような物語がどのように展開されるかを見ることができる。




    2023年/60分/ネパール・ノルウェー・日本/原題:An Indian Love Story

監督のことば

父と母を敬うことは世界共通の規範である。しかし彼らの意志に従うことが難しい場合、あなたはどのようにこlのことと付き合っていくののだろうか?このことは若い恋人たちに関連した、世界中でさまざまな形で扱われている課題である。この問題を扱った多くの映画が少女に焦点を当てているのとは異なり、この映画では少年を追っているものである。

監督プロフィール

  • ディペシュ・カレル、フローデ・ストラース
  • ディペシュ・カレル、フローデ・ストラース

    ディペシュ・カレル / Dipesh Kharel(左)
    映像人類学者、映像作家、東京大学講師。ドキュメンタリー作家として20年近く活動。受賞歴のあるドキュメンタリーをいくつか制作しており、特に『A Life with Slate』(2006年)、『Playing with Nan』(2012年)、『A Kali Temple Inside Out』(2018年)は60以上の国際映画祭で上映され、国際的な賞を多数受賞している。

    フロデ・ストーラス / Frode Storaas(右)
    ノルウェーのベルゲン大学博物館の視覚人類学名誉教授。映画監督としても数カ国で活躍しており、受賞歴のある長編映画には、『A Kali Temple Inside Out』(2018年、インド)、『Tama Gaun - the Copper Village』(2015年、ネパール)(ともにDipesh Kharelと共同)、『The Go-Between』(2014年、エチオピア、Rolf Scott、Getachew Kassaと共同)などがある。

  • 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
  • 芸術文化振興基金助成事業
  • エトノスシネマ