東京ドキュメンタリー映画祭2022
東京ドキュメンタリー映画祭上映作品 > 香港の「いたみ」

上映作品

特別香港の「いたみ」 上映時間105分

11月30日(土)18:55 / 12月9日(月)16:20

激動が続く香港に漂う「空気」をとらえた、ふたつの女性監督作品を紹介。2018年以来の上映となるチャン・ハウザン監督の『失われた一部』は、変化に順応できない心の軌跡を、身体感覚を通して描く。日本初上映となるクリスタル・ウォン監督の『隣の芝生は青い』は、英国に移住する仲間との別れを通して、残る者、残される者が共に背負った、心の重荷を描き出す。

  • 失われた一部
    失われた一部
  • 作品1

    失われた一部 上映時間32分

    脳が縮む。体の動きが鈍くなる。歯が痛む。口の中の隙間が人工物で埋まる。自分の体の知られざる変化と、変化に順応できない心の軌跡を描く。

    2022年/32分/香港/原題:先天的部分(英:Lost a Part Of)

監督プロフィール

  • チャン・ハウザン(陳巧真)
  • チャン・ハウザン(陳巧真)

    CHAN Hau-chun
    香港城市大学クリエイティブメディア学院卒業。作品は写真、ビデオ、インスタレーションなど多岐にわたる。写真作品「People Under the Bridge」は香港文化博物館に収蔵され、卒業制作映画「32+4」は2015年金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞にノミネートされ、第61回オーバーハウゼン国際短編映画祭で優秀賞を受賞。短編『Call Me Mrs Chan』(2017)は第1回東京ドキュメンタリー映画祭でも上映された。

  • 作品2

    隣の芝生は青い 上映時間73分

    2020年以降、少なからぬ香港の人々は、自由な未来を築くために英国に移住している。この映画は、心的外傷後の罪悪感との闘いや、アイデンティティと社会での役割との間の緊張を描いている。良心の重荷を背負った彼らは、新しい故郷で本当に自由になれるだろうか?

    2022年/73分/香港/原題:野草不盡(英:The Grass is Greener on the Other Side)

監督のことば

2020年、香港では大量の移民が発生しました。私はこの移民の波について興味を持ちました。なぜ香港人はこんなに急いで去るのか? なぜ香港人は、何世代にもわたって移住し続けるのか? 私自身は香港の大学を卒業し、香港と強いつながりを築いてから米国に移住し、移民として、香港人として、外国の地で自分の役割と目的を見つけるのに苦労しました。偶然にも、抗議活動が勃発する数日前の2019年に香港に戻り、運動が私を含む香港人に、かつてないほど強い目的意識と街とのつながりを与えたことを体験しました。しかしそれらはすべて消え去り、香港人は去ることについて話し始めました。ほんの数か月前、彼らはこの土地のために犠牲を払うつもりだったのに、その絆と信念はどうなったのでしょうか。私はカメラを手に取り、それを確かめました。

監督プロフィール

  • クリスタル・ウォン(黄靖凝)
  • クリスタル・ウォン(黄靖凝)

    Crystal Wong
    香港中文大学のジャーナリズム学部を卒業後、映像制作の経験を積むためニューヨークに移り住み、フリーランスの映画監督としての地位を確立。彼女自身の離散体験と、2019年の民主化運動後の香港人のアイデンティティの変化を反映した本作が、長編デビュー作品となる。 

  • 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
  • 芸術文化振興基金助成事業
  • エトノスシネマ